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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年3月21日 No.3124 「日本の製造業が進化するのに何が必要か」聞く -経済政策委員会企画部会

経団連は4日、東京・大手町の経団連会館で経済政策委員会企画部会(村岡富美雄部会長)を開催し、大和総研の引頭麻実執行役員コンサルティング副本部長から、「日本の製造業が進化するのに何が必要か~世界から求められるポジションを目指して」をテーマに説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

1.日本の製造業が置かれた厳しい状況

6重苦のうち、行き過ぎた円高は是正の動きがあり、法人実効税率は復興特別法人税の終了(2014年度末)に伴って38.0%から35.6%へ引き下がり、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は参加へと進みつつあるなど、一部で改善の動きが見られる。しかし、厳しい労働規制、環境規制の強化、高まるエネルギーコストについては、何ら改善が進んでいない。また、設備ビンテージ(平均年齢)は、1990年には10年程度であったが、2010年には製造業が14年、非製造業が15年程度にまで伸びており、設備の老朽化が深刻化している。

現状も厳しいが、今後はさらなる厳しさが予想される。高年齢者雇用安定法により、2025年度には、企業は希望者すべてを65歳まで継続雇用しなくてはならなくなり、人事制度の再構築に迫られる。日本の国際的なポジショニングの低下も顕著であり、国際規格の競争において日本企業がさらに不利な立場に置かれてしまう。加えて、人口減少が避けられず、売上の基盤であった国内市場も縮小に向かう。

2.日本の製造業はどこに向かうのか

目指すべきゴールはGNI(国民総所得)の拡大である。海外で稼いで、配当を獲得するビジネスモデルが求められる。

その際、企業は進化が不可欠であり、考え方を変えなければならない。従来の「ものづくり」に固執するのではなく、「ものづくり」と「ビジネスモデル」を一体にして、製品開発を進めていく必要がある。さらに、「価格=値付け」の考え方の再構築も不可欠である。他社より高い価格を付けるのであれば、その価格に見合う付加価値を顧客に説明する能力が必要であり、説明ができなければ値下げを迫られてしまう。技術だけでは、価格が決まらないことを認識しなければならない。

3.求められる政策

今後求められる施策として、国を含めたかたちでの、新しい産業・企業に対する長期・低利の融資が挙げられる。その際の問題点は、新事業の将来性を見抜く「目利き」が不足していることにある。場数を踏む、PDCAサイクルを確立する、知見を有する関係者がグループを形成して情報共有を図る等の企業側の取り組みのほか、事業失敗時のリスクを税制や法制の整備で軽減する、という政府の役割も大きい。また、設備ビンテージの高まりについては、深刻なライフラインインフラの老朽化への対応が急務であるが、単なる更新投資では、GDP押し上げ効果は一時的なものに限られる。例えば、下水道を小水力発電と組み合わせるといった、新たな付加価値を創出するような性格を持つインフラ投資が求められており、政策的な対応による後押しが期待される。

グローバルな視点も重要であり、従来の国内起点の政策方針を転換する必要がある。海外のさまざまな情報(政治経済情勢、文化、価値観、人々の生活等)を産業界が共有できる仕組みが求められる。

【経済政策本部】

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