経団連のヨーロッパ地域委員会(横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長)は、11日、東京・大手町の経団連会館で、外務省の招待により来日したギリシャ共和国のオルガ・ケファロヤニ観光大臣との懇談会(座長=横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長)を開催し、ギリシャの経済情勢、観光戦略等について説明を聞いた。
大臣の発言概要は次のとおり。
■ ギリシャ経済は底を打ち、来年には目に見えて回復
昨年6月の新政権発足以来、ギリシャ経済は危機的な状況から脱し、着実に改善している。債務不履行やユーロ圏からの離脱の可能性は大きく低下した。その要因として、(1)新政権がユーロ圏残留を決定したことによる国内外の信認の回復(貯蓄率の上昇と10年物国債利回りの対独連邦債スプレッドの縮小がその証左)(2)財政と国際収支の双子の赤字に対処するための経済調整プログラムによる改革の進展(3)銀行制度など金融システムの安定性に対する信認の回復(4)支援融資の継続による構造改革の下支え――が挙げられる。
2012年までの5年連続のマイナス成長から2013年も脱け出すことはできず、失業率の上昇が見込まれるが、2014年には目に見えるかたちで経済が回復に向かう見通しである。銀行の資本増強による流動性の回復、コスト競争力の回復による輸出の拡大、民営化による売却資金の投資への積極的な振り向け、規制緩和の推進、大規模インフラの整備、欧州開発銀行およびEU構造ファンドを活用した民間プロジェクトを中心とする投資の拡大等を進めていく。
■ 観光地ギリシャの再発見を
ギリシャの主要産業である観光業は、GDPの16%、雇用の18%を占めている。危機のさなかにもかかわらず、2011年には1600万もの観光客がギリシャを訪れているが、近年、日本人観光客は大幅に減少している。
新政権で復活させた観光省では、新たに策定した国家戦略に基づき、(1)観光分野への投資の推進・円滑化(2)文化、宗教、グルメ、スパ等テーマ別観光の推進(3)観光インフラの拡充とサービスの質の向上(4)教育訓練など人材への投資――等に取り組んでいる。
今回の訪日を通じて、日本人観光客減少の原因を把握し、少なくとも数年前の水準に戻したい。ギリシャについて、マイナスのイメージが誇張されて伝えられているが、ギリシャは安全で、観光客を温かくもてなす国であることを強調したい。日本からの直行便開設も検討してほしい。ぜひギリシャを再発見してほしい。
【国際経済本部】