経団連のヨーロッパ地域委員会(横山進一共同委員長、小林喜光共同委員長)は13日、東京・大手町の経団連会館で、日本・スペイン交流400周年を迎える今年初めての要人として来日したホセ・マヌエル・ガルシア=マルガージョ外務・協力大臣との懇談会(座長=横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長)を開催し、スペインならびに欧州の経済金融情勢等について説明を聞いた。経団連からは、今春にも交渉が開始される見込みの日・EU経済連携協定(EPA)の早期締結の実現への協力を求めた。大臣の発言概要は次のとおり。
■ 改革が進むスペインに注目を
不動産バブルの崩壊による金融危機と財政悪化を受け、スペイン政府は緊縮財政を実行するとともに、銀行の再編成・不良債権処理・資本増強に取り組んでいる。また、労働市場の改革等を進めた結果、単位労働コストが低下、競争力が急速に回復、輸出が拡大し、対外債務は減少、経常収支は改善している。厳しい雇用情勢も今年中には底を打ち、改善に向かう見込みである。ユーロに対する信用が回復すれば、逃避した資本も回帰するものと想定される。スペインは観光、輸送インフラ、再生可能エネルギー、医薬品、金融、通信、ファッションなど多くの有望な産業を有し、優れた人材も豊富である。
先ごろ日本の自動車メーカーがスペインにおける事業拡大を決定したが、他の日本企業も、ぜひスペインを実際に見て認識を新たにしてもらいたい。
■ 債務危機を受け、欧州は統合の深化に着手
各国経済の収斂が不十分なまま、ユーロを導入し、金融政策を一元化したことが危機の背景にあり、危機を契機にその問題が顕在化した。このような事態に対処するため、銀行については、監督を一元化する予定であり、破綻処理や預金保険の仕組みの整備が今後の課題である。財政については、無駄を排除すべく、統一された方針と監督の下で各国が予算編成を行う方向である。経済については、域内不均衡が生じないよう政策を調整、競争力の回復に努める。財政難に陥った国への財政的支援の仕組みも検討する必要がある。
■ 日本との関係強化期待
日・EUEPAについては、締結に向けて協力したい。また、日本・スペイン企業が具体的な協力関係を結んでいくこと、特に第三国でパートナーを組んで事業を行う意義は大きいと考えている。その点スペインは、中南米地域への有数の投資国であり、今後、北アフリカ地域への投資も進めていく。多くのスペイン語人口を擁する米国とEUが貿易投資協定を締結すれば、それはスペインにとって重要な意味を持つ。
【国際経済本部】