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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2013年2月14日 No.3119 イタリアおよびイギリスの防衛産業政策に関する調査ミッション派遣

経団連は1月27日から2月2日にかけて、「イタリアおよびイギリスの防衛産業政策に関する調査ミッション」を派遣した。ミッションには、堀謙一・防衛生産委員会基本問題ワーキング・グループ主査を団長として企業の実務担当者ら16名が参加し、両国の政府機関や防衛関連企業などにおける取り組みを調査した。
両国からは、わが国との防衛産業協力、装備品の国際共同開発・生産に向けた期待が示された。
概要は次のとおり。

イタリア

■ 政府機関

国防省の装備政策の三つの柱は産業政策、多国間協力、二国間協力である。陸海空の装備品の大半を国際共同開発・生産している。国内の空軍基地で、日本も次期戦闘機として採用したF35の最終組立を行っている。

武器輸出では、まず国防省が安全保障上の観点から案件を審査、さらに外務省が審査して認可する。経済開発省が、EUの政策に従ってデュアルユース(軍民両用)製品の輸出管理を担当している。

■ 防衛関連企業など

2011年のイタリアの防衛産業の総従業員数は5万400人、売上高は年間135億ユーロであり、輸出が60%を占める。防衛関連企業であるフィンメカニカの売上高は世界8位の173億ユーロであり、イギリスや米国の企業を買収してグローバル化を進めた。同社のグループ企業であるアレニア・アエルマッキは、M346練習機を開発している。武器輸出三原則等の見直しを受け、日本と協力したい。イタリア防衛産業協会(AIAD)は、NATOやEUと連携している。

イギリス

■ 政府機関

2010年に自由党と保守党の連立政権が発足し、15年までの5年間で国防省の予算を減らすこととした。12年の新戦略 "National Security through Technology " では、装備品の調達についてオープンな競争を重視した。国防省は、1月31日に10年間の装備品の調達計画を発表した。

貿易投資総省国防安全保障機構が武器輸出を担当する。イギリスの武器輸出額は米国に次ぐ世界2位である。日本の武器輸出三原則等の見直しを受け、装備品の国際共同開発・生産の候補案件を検討している。具体的プロジェクトを進めるため、今年上期には政府間の枠組み協定を締結したい。

■ 防衛関連企業など

イギリスの防衛産業は30.5万人の雇用を創出している。BAEシステムズの2011年の売上高は192億ポンドであり、防衛関連企業として世界3位である。武器輸出三原則等の見直しを受け、日本への投資を検討している。ロールスロイスは戦闘機ユーロファイター・タイフーンのエンジン、MBDA社はミサイルを欧州各国で国際共同開発・生産している。

イギリス航空宇宙安全保障防衛産業連合(ADS)は、世界各国の防衛産業団体と協力している。英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)によると、金額が大きい防衛プログラムの3分の2は共同プログラムである。

英政府機関との懇談を終えた一行

【産業技術本部】

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