気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)が2012年11月26日から12月8日まで、カタールのドーハで開催され、今後の地球温暖化対策等をめぐる交渉が行われた。そこで経団連は会議終了後の12月18日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会(坂根正弘委員長)を開催し、COP18の総括を踏まえた今後の地球温暖化政策等について、経済産業省産業技術環境局の鈴木英夫局長から説明を聞き、意見交換を行った。鈴木局長の説明概要は次のとおり。
■ 国際枠組をめぐる議論
国際枠組に関しては、昨年のCOP17(南アフリカ・ダーバン)の結果、すべての締約国に適用される枠組の2020年の発効に向けて2015年までに交渉を妥結することとされていたところ、今後の大まかな作業工程について合意できたことを評価したい。2013年3月までに各国からの提案を募り、2014年に国連事務総長が提案した世界の指導者達が集う会議を経て、2015年5月までに交渉文書を作成し、同年末のCOP21での合意を目指すこととなった。
一方、2012年で終了する京都議定書の第一約束期間に続く第二約束期間については、2013年から2020年までの8年間とすることが決定された。EU等が参加するものの、米中に加え日本、ロシア、カナダ等も不参加となるため、地球全体の温室効果ガス排出量で見たカバー率は15%程度となる。
■ わが国の中期目標の見直し
わが国の2020年の温室効果ガス削減目標(中期目標)については、各国の動きを踏まえて検討する必要がある。米国の目標は2005年比でマイナス17%であり、1990年比ではマイナス4.3%にすぎない。京都議定書第二約束期間に参加するオーストラリアの目標は1990年比マイナス0.5%である。さらに、京都議定書第二約束期間に参加しない国は京都メカニズムの活用が制限されるのに伴い、現行の目標水準を維持するのが難しくなるため、削減目標を引き下げる可能性もあることを勘案する必要がある。
■ 二国間オフセットメカニズム
途上国に温室効果ガス削減の技術・製品・サービスを普及させることで実現した削減分の一定量を日本の削減とみなす制度として、日本が提案している二国間オフセットメカニズムに関しては今後、国連の下で検討する道が開かれた。従来からベトナム、インドネシアとは協議を進めてきたが、これらに加え、COP18ではモンゴルと共同声明を公表した(2013年1月に二国間文書に署名)。このほかにも多くの国から関心が示されているので、多くの途上国に同制度のメリットを訴えて仲間づくりを進めていきたい。
■ 官民連携の取り組み
日米産業界が連携して開催した「ドーハ・ビジネス・ダイアログ」は、日・米・EU・ニュージーランド等の主要国から、事務レベルの首席代表や各国産業界の参加を得て盛会であった。温暖化対策を進めるために官民で議論するのは非常に有意義であり、引き続き支援していきたい。
【環境本部】