経団連の経済政策委員会統計部会(竹原功部会長)は12月19日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、日本銀行調査統計局の藤田研二経済統計課長から、「全国企業短期経済観測調査(短観)」の見直しについて説明を聞いた。
説明の概要は次のとおり。
(1)調査項目の一部廃止
調査対象企業の回答負担を軽減する観点から、調査項目を一部廃止する。具体的には、「年度計画」(売上・収益、設備投資など事業計画に関する実績および計画)のうち、「材料費」「人件費」「減価償却費」「金融収益」「金融費用」の5項目、「四半期項目」(企業のバランスシートの残高や雇用者数などの計数)の全13項目、合計18項目について廃止することとした。
(2)調査項目「企業の物価見通し」の新設
予想物価上昇率は、経済活動や物価形成に関する重要な要素であり、その情報の充実は、家計・企業の意思決定や経済の先行き予測に有益である。しかし、わが国では企業を対象とした予想物価上昇率のサーベイ調査は限られており、特に中長期の調査はない。
そこで、ユーザーに有用な統計を提供する観点から、短観において、調査項目「企業の物価見通し」を新設する。具体的には、「販売価格」と「物価全般」の2項目について、それぞれ1年後、3年後、5年後の変化率の見通しを企業に回答してもらう。
すでに、今年3月と6月の2回、短観の調査対象企業1400社の協力を得て、予備調査を行ったが、この予備調査での有効回答率は9割近くに達しており、調査のフィージビリティーは高いことが確認されている。
(3)判断項目「CP(コマーシャルペーパー)の発行環境」の調査対象範囲の見直し
判断項目「CPの発行環境」については、実際の発行の有無にかかわらずすべての企業に回答を依頼している。一方、当該計数は必ずしも実勢を正確に反映したものにならないという問題意識から、集計対象をCPの発行実績がある企業に限定した発行企業ベースの「CPの発行環境」判断を参考系列として公表してきた。今回、全企業ベースを廃止し、発行企業ベースを「概要」と同時に公表する。また、発行企業ベースの範囲は、従来の「過去2年間にCP残高が存在する企業」に、「現在、発行を検討している企業」を加えるかたちで再定義する。
今回の見直しを踏まえた調査は、早ければ2014年前半ころから実施する予定。
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短観の見直しについての説明・意見交換の後、総務省「サービス産業動向調査」の見直しについて、経団連事務局から報告があった。サービス産業動向調査は、企業単位の調査の一部導入、主要なサービスの需要動向の把握、年次調査の創設による都道府県別活動状況の把握など、今年1月から調査内容を一部変更する。
同調査については総務省統計局のホームページ(URL=http://www.stat.go.jp/data/mssi/index.htm)を参照。
【経済政策本部】