経団連は5日、四国経済連合会(四経連、常盤百樹会長)と徳島市内のホテルで「四国地域経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長はじめ審議員会議長、副会長らが、四経連からは、常盤会長をはじめ会員約130名が参加し、「決断と実行で日本の再生と四国の活性化を」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。
開会あいさつのなかで四経連の常盤会長は、四国は「人口の流出や製造業の海外流出など、地域経済の基盤が揺らいでいる」とともに「東日本大震災を教訓にした、東南海・南海地震への一段の対応も迫られている」と指摘した。そのうえで、四国の重要課題に対する四経連の取り組みの基本として、「グローバル競争が拡大するなかでの地域産業の活力の維持・強化」と「四国の自立的・持続的発展と地震への対応力強化のための社会基盤整備の推進」「少子化対策」の3点を紹介した。
続いてあいさつした経団連の米倉会長は、懇談会前日の4日に衆議院選挙が公示されたことを受けて、「今回の総選挙は、与野党間の信頼関係を立て直し、政治を前に進めていくために必要な、極めて重要なステップ」と述べ、「選挙後、与野党には、国民のための政治という観点から党派を超えて協力し、重要政策をスピーディーに実行していくことによって、わが国の進むべき道筋を明確に示してほしい」と強い期待を示した。また、日本経済の先行きが不透明感を増すなか、経団連として民主導の経済成長の実現に向けた諸施策の迅速な実施を訴えるとともに、愛媛県の西条市における「西条農業革新都市」プロジェクトをはじめとする「未来都市モデルプロジェクト」の推進など自らが知恵を絞り、行動することを通じて新たな成長の機会を創出していくとの決意を示した。
■ 活動報告
活動報告では、経団連と四経連双方から、政策課題に対する取り組みについて報告があった。経団連からは、奥正之、西田厚聰、勝俣宣夫、渡辺捷昭、宮原耕治、荻田伍、篠田和久の各副会長から、それぞれ当面の経済運営と成長戦略の推進、エネルギー・環境問題への対応、TPP(環太平洋経済連携協定)を梃子とする経済連携の促進、税制の改正、強靭なサプライチェーンの構築、防災・減災の備え、労働法制整備への対応について経団連の取り組みを報告した。
一方、四経連からは、青木章泰副会長、小中力副会長、西宮映二副会長から、産業競争力強化、電力供給の安定化と今後のエネルギー・環境政策、東南海・南海地震への対応力向上に向けた地域づくりについて四経連の活動報告があった。
「道州制の実現」など
■ 意見交換
続いて、わが国経済の再生と四国の活性化に向けた施策をめぐり意見交換が行われた。四経連からは、(1)企業の海外進出と国内雇用の維持(2)グローバル時代の人材育成(3)インバウンド観光推進(4)少子化対策(5)税財政改革と社会保障制度改革(6)道州制の実現――について問題提起があった。
これに対して経団連からは、(1)政府の各種対策の迅速な実施に加え、民間においてはイノベーションの創出や海外利益の国内還流による再投資の実行が必要(大宮英明副会長)(2)国際化の推進に熱心な大学との連携の強化に取り組む(渡文明審議員会議長)(3)訪日外国人2500万人という目標達成に向け制度の見直しや広域連携等による受け入れ体制の整備を行う(大塚陸毅副会長)(4)待機児童の解消に向けた政府の取り組みを注視するとともにワーク・ライフ・バランスの推進の機運を高める(斎藤勝利副会長)(5)現役世代への過度な負担の見直しを含む社会保障制度の再構築を一刻も早く実現する(石原邦夫副会長)(6)道州制につながる各地域の自主的な取り組みを最大限応援する(畔柳信雄副会長)――とのコメントがあった。
【総務本部】