経団連は21日、都内で、観光PRのために来日中のマリ・インドネシア観光・創造経済大臣一行と懇談した。同会合はインドネシア側の要請を受け実現したもの。
日本側からは、日尼両国の観光交流の拡大に向け、大塚陸毅副会長・観光委員長をはじめ関係企業の首脳・幹部10名が出席した。
マリ大臣と大塚副会長の発言要旨は次のとおり。
■ マリ大臣
経団連とは商業大臣在任中から交流を持っている。今回、観光・創造経済大臣として大塚副会長ならびに日本の主要企業の方と再会でき、うれしく思う。
インドネシアのGDPは世界16位、近年、年率約5~6%の経済成長を続けている。観光も成長セクターの一つである。日本からは年間約50万人の観光客を受け入れており、昨年は減少したものの、今年は回復している。日本からインドネシアへの直行便を増やすなど、さらなる観光交流活性化に向け、協力してほしい。
私は、日本インドネシア経済連携協定(2008年発効)の交渉に携わった。同協定には、日本におけるインドネシア人看護師・介護福祉士の受け入れに関する条項がある。ここにホテル業など観光関連サービス産業に携わる人材の受け入れも盛り込みたいと考えていた。日本では少子高齢化社会の到来で、ホスピタリティー関連サービスへの需要が高まるのではないかと考えたからだ。
また、日本企業からの対インドネシア直接投資に期待している。格安航空会社や中級ホテルの進出により国内の観光需要は今後とも伸び続ける。ホテル業に外資制限はない。外食産業においては外資制限を49%としているが、合弁相手の斡旋や各種投資インセンティブの提供等のお手伝いをするので、積極的に投資してほしい。
■ 大塚副会長・観光委員長
インドネシアとわが国の経済関係は、経済連携協定の発効を機にますます深まっている。両国の関係は、アジア地域全体の発展のためにも重要であり、マリ大臣の長年の尽力にあらためて感謝したい。
インドネシアは、魅力的な観光資源を数多く有し、日本だけでなく、アジア、そして世界中から、多くの観光客を呼び込んでいる。
日本も新たな成長を実現するため、国内外の交流人口を増やし、地域活性化と雇用の創出につなげる必要がある。経団連では、政府に観光振興に力を入れるよう働きかけるとともに、人材育成など独自の取り組みを続けている。
政府も近年、国家戦略のなかに観光立国を位置付け、その実現に向けた取り組みを進めている。来年の「日アセアン交流40周年」を控え、インドネシアとの観光交流を一層拡大するために、この9月から観光マルチビザの発給も始めた。
観光は文化経済交流を活性化し、外交を補完する、究極の平和産業である。本日の会合を両国の観光交流の拡大への一助としたい。
【国際協力本部・産業政策本部】