経団連は13日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会企画部会(岩波利光部会長)を開催し、日本ギャップイヤー推進機構協会(JGAP)の砂田薫代表理事から、企業としてギャップイヤー体験をいかに評価するか、また日本においてギャップイヤー体験者を増やすために求められる取り組みについて説明を聞いた。JGAPは、2011年に設立された法人で、ギャップイヤー体験に関する調査研究や国内における啓発・推進に取り組んでいる。
■ ギャップイヤーについて
冒頭、砂田氏は、「大学入学・卒業前の学生が一定期間、親元を離れ、海外留学をしたり、国内外でインターンシップやボランティア活動などの非日常体験に従事するギャップイヤーの慣習は、1960年代に英国から始まり、現在では、英国圏を中心に、米国、イスラエル等にも広がっている」「米国のプリンストン大学のように、大学がプログラム(ブリッジイヤー・プログラム)を策定し、入学予定者を途上国に1年間派遣して、現地でボランティア活動に従事させる例もある」ことを説明した。
■ ギャップイヤー体験に対する高い評価
そのうえで、「プリンストン大学では、入学前の学生が1年間、異文化のなかで生活し、国際感覚を身につけ、公共心を培うことができるブリッジイヤー体験を高く評価しており、近く、派遣人数を現在の49名から100名規模に拡大する予定」であることや、「英国で実施された調査によると、英国経営者の6割は、新入社員の採用において、大学の学位と同等かそれ以上にギャップイヤー体験を評価している」ことを述べ、ギャップイヤーを通じた社会体験や就業体験が高く評価されていると指摘した。
■ 日本での普及に向けて
一方、日本でギャップイヤーが普及しなかった理由として砂田氏は、「大学側の理解不足、保護者の経済的負担への懸念や、留年、休学などの『寄り道』に対する社会のマイナス評価」などを挙げ、「学生の入学後の学習意欲や職業選択能力の強化」や「社会が要請する能力を持つ学生を育む」ことにつながるギャップイヤー体験を日本でも推進すべきと述べた。具体的には、国内外の企業のオフィスや工場でインターンシップを行うことや、島根県津和野市で実施しているように、全国の過疎化等で悩む市町村がギャップイヤーの学生を受け入れ、地域活性化のプロジェクトに取り組むアイデアなどを紹介。経団連には、「ギャップイヤー体験を採用や人事評価に活かすモデルについても検討してほしい」と述べた。
経団連側からは、ギャップイヤーにより学生が就職前に多彩な体験をすることは魅力的だが、就職を意識して大学の準備したプログラムに参加するだけの学生は評価されないことや、大学における4年間の教育自体を見直すべきとの指摘があった。
【社会広報本部】