経団連は17日、提言「日本インドネシア経済連携協定の高度化を求める」を発表し、関係各方面に建議した。2008年7月に発効した日本インドネシアEPAは、発効後5年目の今年、再協議を迎える。再協議は、これまでのEPAの運用を通じて直面した問題点や、インドネシアが他国と締結しているEPAに比べて劣後する部分について改善を求める重要な機会となる。そこで、企業を対象にインドネシアにおける貿易投資障壁にかかるアンケート調査を行い、経済界の要望を取りまとめた。概要は次のとおり。
1.物品貿易
わが国の主要輸出品目である鉄鋼製品、自動車、二輪車、自動車部品、化学品等に残存する関税の引き下げ・撤廃を求める。特に、鉄鋼製品については、ASEAN中国FTAや、ASEAN韓国FTAにおいて関税が撤廃されている品目があるため、競争条件を確保するためにも対応が急務である。
2.投資、サービス貿易
日本企業の現地における活動をより活性化させる観点から、流通、海運、保険、建設、製造業等における外資制限の緩和を求める。また、日本人駐在員1人に対して数名の現地人の雇用を義務付けるなどの、いわゆるパフォーマンス要求についても改善が必要である。
3.人の移動
現行のEPAは一定の条件のもと、短期の出張や企業内転勤を認めているが、出張の際のビザ発給手続きに時間がかかる、企業内転勤者に年齢制限や学歴要件がある等、改善の余地がある。他方、わが国としても、看護師・介護福祉士の受け入れの拡大など、将来を見据えた対応が不可欠である。
4.エネルギー・鉱物資源
資源エネルギーの安全保障の観点から、資源エネルギーの輸出制限の濫用防止、輸出許可手続きの透明性確保のほか、「新鉱業法」に基づく原料輸出制限の見直しを求める。
5.政府調達
円借款案件、PPP(官民パートナーシップ)案件など、わが国がマスタープランづくりを手がけたプロジェクトであっても、事業者を選定する段階では、受け入れ国の国内法が適用される。過度なローカル・コンテンツ要求の是正のほか、価格本位ではなく、技術力や品質を適正に評価する入札制度の確立など、インドネシアの政府調達制度の整備を求める。
6.ビジネス環境整備
不透明な国内法、過度な税負担等のビジネス上の障害について、EPAに基づいて設置された「ビジネス環境整備小委員会」等を通じて改善を促していくことが不可欠である。
経団連では、以上の点が日本インドネシアEPAの再協議において反映されるよう、日本政府に働きかけていく。
【国際協力本部】