フランス経団連のジャン=イヴ・ルガル日仏ビジネス委員長ら一行約20名が2日、東京・大手町の経団連会館を訪れ、米倉弘昌会長、伊東信一郎審議員会副議長・経済連携推進委員会共同委員長ら経団連幹部と懇談した。
■ 日EU・EPAを土台に一層の協力関係を構築
冒頭、ルガル委員長は、(1)再生可能エネルギーを含むエネルギー、輸送、防衛、医療機器等の分野で日仏間の協力を深めていきたい(2)新たな機会や課題が生まれる一方、新興国など新たな主体も登場するなかで日仏関係の強化が必要である(3)大震災に見舞われた日本の再建に協力していきたい――と述べた。
米倉会長は、今回の一行の来日が日仏、日EU関係の一層の発展に大いに寄与する意義深いものである理由として、(1)成長重視のオランド新政権が発足した機会をとらえて、日本とフランスならびにEUとの貿易投資関係がさらに深まれば、非常に大きな経済成長の推進力を生みだすことができること(2)日EU間のいわゆるスコーピング作業が終了し、一刻も早い経済連携協定(EPA)交渉開始が期待されるタイミングであること(3)日EUの業界同士の対話が着実に深まっており、EPAを土台としてさまざまなかたちの互恵的な協力関係を構築できる環境が整いつつあること――を指摘した。
伊東副議長・共同委員長からは、(1)日EUが共通の価値観をベースとしてビジネスに関するルールや製品・サービスの規格づくりを協力してリードし、アジアの新興国にそれらを展開していくうえで日EU・EPAは有益である(2)アジアを中心に日本がすでに締結した、あるいはこれから締結するEPAが第三国において日仏企業が協力関係を深めるうえで役に立つと考えられる――との発言があった。
■ 広がる日仏産業協力の可能性
日仏間の産業協力をめぐって、経団連側からは、材料の用途拡大に伴うフランスでの工場増設計画、一部事業の欧州本社のパリ設置、フランス担当カントリー・マネジャーの新設、アジア諸国におけるインフラ分野を中心としたフランス企業との協力事例等について説明を行うとともに、日EU・EPAの必要性を強調した。フランス側からは、微量放射線の測定など除染作業への協力、アジア太平洋における液化天然ガスプロジェクトでの日本企業との協力事例、日本政府による防衛装備品等の国際共同開発・生産の包括的な例外化措置を受けた協力の推進、インフラ・資金を必要としている東南アジア諸国に焦点を絞った日仏企業間の協力の可能性等について説明が行われるとともに、日EU双方にとってバランスの取れた、win-winの結果をもたらすEPAの早期実現を期待するとの発言があった。
【国際経済本部】