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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年6月21日 No.3090 “独創性の経営戦略”テーマに開催 -優れた企業へ成長する企業経営のあり方聞く/起業創造委員会

経団連は5月30日、東京・大手町の経団連会館で起業創造委員会を開催した。当日は東京理科大学大学院イノベーション研究科長の伊丹敬之教授を招き、独創的な技術や製品、ビジネスモデルを持つ優れた企業へと成長するための企業経営のあり方について説明を聞くとともに、意見交換を行った。
伊丹教授の説明の概要は次のとおり。

■ オンリーワンは優れた戦略か

企業の独創性について語る際に、「オンリーワン」という言葉を使うことは構わないが、言葉のニュアンスが大事である。似たような製品を供給する企業があるなかで、「断トツ」という意味での「オンリーワン」と「孤立無援」の意味での「オンリーワン」とでは意味が全く異なる。独創的な技術など、独創性を目指し、断トツを目指すという戦略ならば、「オンリーワン」は一般的に正しいであろう。それを独創性の経営戦略と呼ぶ。

■ 独創性の経営戦略の“不常識”なスタンス

独創性の経営戦略を構築するうえでは、第1に、「マーケットイン」ではなく、「顧客イン」を強調すべきである。「マーケットイン」を重視した場合、顕在需要を重視し、顧客の要求を無条件に聞き入れ、さらに、データ検証ばかりに偏る危惧がある。むしろ、自分を顧客の立場に置いて、顧客のニーズをとことん考える「顧客イン」のスタンスに立つべきである。

同時に、製品とはあくまで技術がかたちとなったものであり、本当に大切なのは製品ではなく技術である。したがって、技術によって新しいことを世の中にもたらす「技術アウト」の姿勢も重要である。

第2に、独創性の経営戦略を考えるうえでは、市場での失敗から学び過ぎてはならない。失敗から学ぶと、べからず集が増え、ルールが増えて組織が硬直化する。失敗体験から学ぶべきは失敗の現象ではなく、技術のどこが未熟だったのか、戦略のどこが思慮不足だったのかといった失敗の本質である。その意味で、むしろ、成功から学ぶことを奨励すべきである。成功は多くのステップがうまくいって初めて成功する。そのために、成功できる仕事の現場を経験させ、そこから独創性の経営戦略のヒントを多くの人々に体験させる「超高速現場学習」を勧めたい。

■ 名経営者は必ず名教育者

経営と教育の二つは本質が似ている。経営も教育もともに人を動かして何かをなすことである。経営の要諦は、部下達に仕事全体の方向を指し示し、仕事をしたくなる環境を整備し、その後は彼ら自身が自分で仕事をするプロセスを応援することである。教育とは、人に自学してもらうことである。

【産業政策本部】

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