経団連は5月28日、東京・大手町の経団連会館で道州制推進委員会(畔柳信雄委員長、松下雋共同委員長)を開催し、道州制推進知事・指定都市市長連合の共同代表である石井正弘岡山県知事と、鈴木康友浜松市長から、同首長連合の目指す道州制とその実現に向けた課題について説明を聞くとともに懇談した。石井知事、鈴木市長の説明は次のとおり。
■ 石井岡山県知事
少子高齢化、グローバル化が進展するなか、震災からの復興など日本は困難な課題に直面しており、国全体で対応しなければならない。有効性を失った中央集権体制を脱し、新しい国の形の創造が求められており、その一つの回答として、府県を越えた新たな広域の行政主体の設置、道州制の導入が必要である。そこで、道州制の実現に取り組むべく、広域行政の当事者である知事と政令指定都市の市長により、道州制推進知事・指定都市市長連合を創設した。
同連合では当面、政府・政党への提案・要請、地域主権型道州制の制度設計を軸に活動していく。また、7月を目途に首長連合としての制度設計を明確にすることを考えている。その際、経済界にも連携をお願いしたい。
なお、私案であるが、道州制の実現に向けた制度設計にあたっては、推進法の制定、国・地方自治体の役割分担の明確化などの取り組みが必要であると考えている。道州も一定の経済的、財政的自立が可能な規模を有していることが前提となろう。
道州制は、知事はもとより、議員や公務員の身を削る統治システムの大改革である。自らの職を投げ打つ覚悟で取り組んでいく。
■ 鈴木浜松市長
今の47都道府県の体制は、明治以来124年間微動だにしていない。また、市町村制度にしても、人口358万人の横浜市と538人の高知県大川村が、同じ基礎自治体として位置付けられるなど、ナンセンスである。このように、今の日本の統治システムは機能不全を起こしている。この国の仕組みを根本から改め、地域主権型道州制を導入する必要がある。
道州制実現のカギは、基礎自治体の自立と府県改革である。基礎自治体を自立させるうえでの有効な手法として、指定都市市長会は「特別自治市制度」が必要と主張している。
自立した都市経営に向けて、面積の半分が過疎地域であるなど大都市とはいえない浜松市においても、徹底的な行革等に努めている。また、静岡県、浜松市、静岡市の3者で、特別自治市の実現に向けた連携・協力、府県制度の廃止と道州制の推進、自立した地域経営に取り組むことを確認している。
なお、道州制導入に際しては、県単位での区分けだけに着目するのではなく、例えば三遠信地域(愛知県東部の東三河、静岡県西部の遠州、長野県南部の南信州)における広域連携の取り組みなど、地域ごとの特徴を活かしていくことが重要である。
【産業政策本部】