経団連は18日、東京・大手町の経団連会館で、海洋開発推進委員会総合部会(山脇康部会長)を開催した。当日は、内閣官房総合海洋政策本部事務局の谷伸参事官、川村始参事官、伊藤和久参事官、竹田健児参事官を招き、海洋基本計画の見直しおよび大陸棚の延長について説明を聞くとともに意見交換を行った。
概要は次のとおり。
■ 海洋基本計画の見直しについて(川村参事官)
2007年に施行された海洋基本法は、六つの基本理念と12の基本的施策を定めている。全閣僚が参加する総合海洋政策本部が海洋基本計画を策定し、関係各省が連携している。海洋基本計画は5年を目途に見直すことになっているため、現在は第2期基本計画を策定する作業を進めており、5月中に有識者10人が参加する参与会議の第1回会合を開催する。
海洋基本計画の特徴的な施策を説明したい。海洋資源や海洋再生可能エネルギーの開発・普及を推進しており、外国船による資源探査には鉱業法の改正などで対応している。
海洋の安全に関する制度については、2009年に海賊対処法が成立し、ソマリアの海域において海上保安庁による海賊の取り締まりが可能になるとともに、自衛隊が活動する体制が正式に整った。
海洋管理については、2010年に排他的経済水域と大陸棚の基線である低潮線を保全する法律が成立した。また、沖ノ鳥島や南鳥島などの離島を活動拠点として整備している。
■ 大陸棚の延長について(谷参事官)
2004年から08年6月まで、政府、学界、経済界が一体となって大陸棚を調査し、経団連にも協力してもらった。08年11月に政府は国連大陸棚限界委員会に大陸棚延長申請を提出し、今年4月19日に同委員会の勧告が採択され、4月26日に発出された。
政府が申請した7海域のうち、勧告では延長が認められたのが4海域、認められなかったのが2海域、審査が先送りされたのが1海域となった。小笠原諸島から東側に延長した小笠原海台海域については、海溝がつながっている証拠を示し、広い面積の延長が認められた。一方、沖ノ鳥島から南側に延長した九州パラオ海嶺海域については、審査が先送りされた。今後は、認められなかった海域の再申請も含めて検討する。
大陸棚には、海底熱水鉱床やコバルト・リッチ・クラストなどの海洋資源のほか、生物資源が存在することが期待される。
<意見交換>
山脇部会長が、「海洋基本計画では、データ調査の目標とアプローチを明確にしてほしい」と発言したところ、谷参事官は、「各省庁のデータを整理した海洋台帳のようなものをつくり、情報を一体化させたい」と答えた。
また、「海洋基本計画に数値目標を定めると、民間企業が活動しやすい」という委員の意見に対し、川村参事官は、「産業化を目指すなかで、国、地方公共団体、事業者がそれぞれ役割を果たすことができるようにしたい」と答えた。
【産業技術本部】