経団連(米倉弘昌会長)は24日、東京・大手町の経団連会館で、インド工業連盟(CII)と共に、日印国交樹立60周年を記念して、日印ビジネス・サミットを開催した。当日は、日印合わせて約230名が参加した。
開会式には、玄葉光一郎外務大臣、枝野幸男経済産業大臣、カマル・ナート都市開発大臣、アロック・プラサド駐日大使が出席し、祝辞を述べた。また、午後のセッションの冒頭で、野田佳彦総理大臣が来席し、日印関係のさらなる強化について期待する旨を述べた。
また、ビジネス・サミットに先んじて開催した経団連とCII首脳による朝食会では、米倉会長から「デリー・ムンバイ産業大動脈構想(DMIC)」の進捗を歓迎すると伝えたところ、アディ・ゴドレジCII会長からは、同構想への日本企業の積極的な参加を求めたいとの発言があった。また、人材協力が重要であるとの認識で双方一致した。
米倉経団連会長 |
アディ・ゴドレジCII会長 |
インフラ整備や産業協力めぐり活発に議論
日印ビジネス・サミットでは、インフラ整備、サービス産業、製造業、ライフサイエンスの四つのテーマをめぐり、活発な議論を行った。
■ インフラ整備
CIIから、インド政府が向こう5年間でインフラ整備に1兆ドルの投資を予定しており、電力、道路、鉄道、港湾、空港等が対象となることの説明があった。
これに対し経団連から、インフラ投資ならびにインド進出企業の円滑な事業活動への具体的協力を求める旨を述べた。
■ サービス産業
CIIから、日本の伝統工芸のデザインがインドに与えた影響が紹介され、今後インドのあらゆる分野でデザインがビジネスとして成長する可能性のある点について指摘があった。また、法務サービスについては、まだまだ閉鎖市場であり課題が多いとのコメントがあった。
これに対し経団連から、インドの金融規制の緩和について協力を求めるとともに、ITを活用した物流サービスをはじめ、発展の可能性の高いサービス分野での企業間協力を進めたい旨を述べた。
■ 製造業
CIIから、日印間人材育成協力の事例が紹介され、インドの生産性向上や進出企業の労働供給に役立っているとの説明があり、今後さらに連携を図りたいとの期待が示された。
これに対し経団連から、日本の製造業は、(1)小さく生んで大きく育てること(2)高い技術力を有していること(3)人材育成に力を入れていること(4)地域貢献に熱心であること――を紹介し、こうした観点からも、自動車や機械産業における日印間の交流拡大が重要であると述べた。
■ ライフサイエンス
CIIから、国内生産医薬品の4割を200カ国以上に輸出しており、世界的な信頼を得ていること、また、保険財政の逼迫で医薬品の価格低下圧力が高い日本において、インドの後発品は有力な製品となり得ることなどの紹介があった。
一方、経団連からは、インドにおける医療機器市場の発展の潜在性が高いことの紹介とともに、日本の医療機器が「安全性」をコンセプトとして、製品開発だけではなく、インドにおいて技術指導を行うなど、人材育成にも貢献していることを紹介した。
【国際協力本部】