経団連(米倉弘昌会長)は4月27日、東京・大手町の経団連会館で、日本商工会議所(岡村正会頭)と共催で、ASEANの経済大臣およびASEAN事務局代表を招いて歓迎昼食会を開催した。
ASEANは、経済大臣が合同で主要なパートナー国を順次訪問し、同地域の重要性を海外でアピールするとともに、経済関係強化の方策について意見交換する「ASEANロードショー」を実施している。今年は4月25日から28日にかけて、仙台および東京を訪問した。同昼食会は、ロードショーの一環として、経済界との対話の場を設ける目的で開催され、23名のASEAN代表団と108名の日本の経済界関係者が参加した。
昼食会では、今年のASEAN議長国であるカンボジアのチャン・プラシッド商業大臣と、ASEANロードショーの幹事国であるフィリピンのドミンゴ貿易産業長官がスピーチを行った。
発言要旨は次のとおり。
■ カンボジア チャン・プラシッド商業大臣
今回、仙台を視察し、日本の目覚ましい経済回復に驚いた。日本はASEANの全貿易額の10%、対ASEAN投資総額の11.4%を占める重要な貿易投資相手国である。日本は1960年代からASEANに大きく貢献しており、日本の支援なくして、ASEANは現在の貿易総額2兆ドル、平均成長率6.5~7%を実現することはできなかった。
ASEANは2015年までに経済共同体を構築する予定である。統合によって、ASEANをモノ、サービス、投資、労働力、資本が自由に移動できる地域にしたい。インドや中国といった競争相手が急速に発展するなか、ASEANがプレゼンスを維持するには、統合が必要である。
ASEAN経済共同体のブループリントには、(1)単一市場・生産基地(2)競争力のある経済地域(3)公平な経済発展(4)グローバル経済への統合――の四つの柱と、(1)2008~09年(2)10~11年(3)12~13年(4)14~15年――の4段階の計画がある。カンボジアは議長国として、ASEANの経済大臣、関連機関、民間企業と協力して、スケジュールに沿って着実に統合を進める。また、企業がビジネスをしやすい環境を構築するため、企業との対話を進めたい。
■ フィリピン ドミンゴ貿易産業長官
日本とASEAN間の長期的協力目標の一つは、ASEANと日本、中国、インドやその他の国とのFTAに支えられた日系企業のネットワークの構築である。そのためには、連結性強化が重要であり、「今後10年の戦略的日ASEAN経済協力関係のためのロードマップ」を策定し、これに沿って、まず、2~3年で高度なロジスティクスを確保していかなくてはならない。
ASEANでは、すでに道路、鉄道のネットワークが構築され、私たちの生活は変わりつつある。日本はASEANにとって、力強く信頼のできるパートナーである。今後は、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の提案するRORO船(注)の導入や、ASEANで建設中の港湾における入国管理、検疫、関税等のサービスの確実な提供のための研究などにおいて、連携を強化していきたい。
(注)RORO船(roll-on/roll-off ship)=トレーラーなどの車両を収納する車両甲板を持つ貨物船。クレーンを使わずに貨物を積み下ろすことが可能
【国際協力本部】