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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2012年4月12日 No.3082 教育界と産業界をつなぐ理系人材育成で説明聞く -教育と企業の連携推進ワーキング・グループ

経団連は3月23日、東京・大手町の経団連会館で教育問題委員会「教育と企業の連携推進ワーキング・グループ」(小川理子座長)を開催し、日本科学技術振興財団の吉田浄専務理事から、理系人材を育成するための同財団の活動や、初等中等教育における理科教育の課題、今後の産業界との連携のあり方などについて説明を聞くとともに意見交換した。同財団は、経済界の出資により設立された民間の財団で、東京北の丸公園の科学技術館を拠点に、科学技術に関する展示や企業・業界団体等による実験実演など、理科好きの子どもの裾野を広げる活動や、国際科学オリンピックへの代表派遣等を通じて、優秀な理系青少年を育成する活動を行っている。

冒頭、吉田氏は、「21世紀は知の世紀であり、日本が国際競争で優位に立つには、イノベーションを通じて知的財産を創り出す人材を輩出する必要があるが、そのような人材は、高度経済成長を支えた戦後日本の教育では育成されない」と述べた。そして日本が将来も先進国であり続けるためには、「途上国に対して教育における雁行形態を維持し、日本の労働者が途上国の労働者に対し稀少性ある労働力として主位を保つ必要がある」と述べたうえで、「それには、日本の教育を改革すべきことは明らかだが、目下の厳しい財政状況下では、政府の教育予算を大幅に増額することもできないため、解決策としては、企業や地域社会が学校教育に協力し、社会総がかりで教育を改善していくことが重要である」と指摘した。特に、子どもたちの理科離れや若者の理工系学部離れが進むなか、科学技術立国日本の将来を支える人材の育成のため、産業界と教育界の具体的な取り組みを進めるべきであると訴えた。

そして、科学技術財団と産業界の連携の可能性として、吉田氏は、企業が小中学校への出前授業を行う際、小中学校の教員と科学技術館の学芸員との間のネットワークを利用して、同財団が両者間のコーディネート組織の役割を担うことや、企業の理科支援プログラムは短期的な効果が見えにくいため、同財団が中立的な立場から、プログラムの質や効果を評価することなどを提案した。

さらに一歩進んで、「経団連の会員企業と協力し、東京都小学理科教育研究会や中学理科教育研究会に参加している教員の参加も得て、新学習指導要領に準拠した理科実験メニューを開発し、それを科学技術館の実験施設において試行することも可能である」と述べ、関心のある企業の協力を求めた。

【社会広報本部】

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