経団連は16日、 「2011年夏季・冬季賞与・一時金調査結果」を発表した。今回の調査結果は、(1)全産業平均では夏季・冬季ともに前年を上回った(2)支給額の配分割合に大きな変化は見られないが、「定額分」が2割に増加した(3)考課査定の幅を広く設定する企業が増えており、特に「最高と最低の幅が異なる場合」にその傾向が強い――などが主なポイント。
調査結果の概要は次のとおり。
1.賞与・一時金の水準
支給額を非管理職・管理職別にみると、非管理職は夏季72万6232円(対前年増減率4.9%)、冬季72万538円(同3.5%)、管理職は夏季136万7910円(同4.2%)、冬季132万2911円(同2.3%)であった。
東日本大震災で多くの企業が大打撃を受けたものの、11年の賞与・一時金は10年の企業業績を踏まえて決定した企業が多く、非管理職・管理職、夏季・冬季のいずれもプラスという結果になった。
2.産業別の状況
支給額(非管理職)を産業別にみると、製造業では夏季75万2889円(対前年増減率6.4%)、冬季75万974円(同4.1%)、非製造業では、夏季69万4392円(同3.1%)、冬季68万4519円(同2.8%)で、夏季・冬季ともにプラスとなった。
ただし、対前年増減率がマイナスになっている業種も散見され、特に非製造業ではマイナスの業種が多くなっている。
3.配分割合
非管理職・管理職とも、1990年代前半から「定率分」が減少する一方、「考課査定分」が上昇しており、近年は非管理職では「定率分」が約4割、「考課査定分」が約3割、管理職では「定率分」が約3割、「考課査定分」が約5割で推移している。
11年調査でもこの傾向に大きな変化はみられなかったが、「定額分」が若干増加しており、非管理職・管理職ともに約2割(21.7%、20.6%)であった。
4.考課査定の幅
標準者を0とした考課査定の幅は近年、広く設定される傾向にある。
査定幅の「最高と最低の幅が同じ場合」において、査定幅がプラスマイナス30%以上の企業割合は、非管理職で25.0%、管理職で43.3%と、5年前の06年調査(非管理職28.8%、管理職33.6%)と比較すると、非管理職では微減したものの、管理職では10ポイント近くアップした。
査定幅の「最高と最低の幅が異なる場合」においては、その傾向がより明確に出ている。最高幅30%以上の企業割合(非管理職53.2%、管理職57.7%)と最低幅30%以上の企業割合(非管理職53.2%、管理職52.8%)はいずれも06年調査より増加し、5割を超えている。
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同調査は、賞与・一時金の支給実態を把握し、今後の賃金対策の参考にするために1953年から毎年実施している。今回は、経団連企業会員および東京経営者協会会員企業1939社を対象に調査を行い、338社(製造業55.6%、非製造業44.4%)から回答を得た(有効回答率17.4%)。
【労働政策本部】