経団連は13日、東京・大手町の経団連会館で、「都市の低炭素化の促進に関する法律案」説明会を開催し、国土交通省都市局の和田信貴都市計画課長から、法案の趣旨や内容について説明を聞いた。
概要は次のとおり。
■ 三省共管で策定
政府では、2月28日に同法案を閣議決定した。国土交通省、経済産業省、環境省の共管により、民間等の低炭素建築物の認定や低炭素まちづくり計画の策定に関する制度を創設し、税制や規制の特例等を通じて、住宅・都市・交通の低炭素化やエネルギー利用の効率化を図ることとしている。震災後は電力のエネルギー需給が一層厳しくなっており、産業部門に比べて対応が遅れている民生部門・運輸部門での取り組みを含めた都市・まちづくりが求められていることから、昨年12月に閣議決定した「日本再生の基本戦略」も踏まえ、理念や方向性を定めている。
■ 基本的な考え方
都市の活動・構造に注目して、土地利用規制制度の活用と民間投資活動に対するインセンティブの付与を柱としている。頂上ではなく5合目以上を目指して、1800ある市町村の半分くらいが対応できるような成功事例を蓄積し、普及を図りたい。そのために都市機能の集約化、公共交通機関の利用促進、建築物・自動車の低炭素化、面的なエネルギー利用の合理化、二酸化炭素の吸収源対策を行うこととしている。国が策定する基本方針に沿って市町村は低炭素まちづくり計画を策定し、民間等の低炭素建築物の認定を行う流れとなる。市町村の計画は地域の実情に応じてできるところから取り組み、民間投資が入りやすくなるよう事業の予見可能性を高めたり、補助金を重点的に配分したりする予定である。
■ 具体的施策
認定低炭素住宅は税制で優遇する。認定低炭素建築物は設備の容積率で優遇するほか、建築確認申請とあわせたワンストップでの手続きを可能とした。都市機能も集積度に応じてCO2排出量が異なるため、社会資本整備総合交付金を用いて移動距離が少ない多機能施設の整備を支援するほか、駐車場も附置義務を見直して集約を図る。公共交通では利用促進や貨物運送の合理化に資するよう、バスの路線変更等にかかる許認可手続きを簡素化する。エネルギーの面的利用では下水熱の利用や都市公園・港湾の占有許可に関する規制を緩和する。緑地についてはNPO法人の活用等で保全や管理の負担を軽減する。法案成立後3カ月以内に施行予定なので、その間に詳細を詰めることとなる。
【産業政策本部】