経団連は14日、東京・大手町の経団連会館で、内閣官房社会保障改革担当室の向井治紀審議官ならびに篠原俊博参事官から、マイナンバー法案について説明を聞き、意見交換した。
会合には、経団連の電子行政推進委員会のほか、情報通信や税制、社会保障などの委員会から約130名が参加した。
説明概要は次のとおり。
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個人番号および法人番号の利用に際しては、(1)行政運営の効率化および国民の利便性の向上(2)情報提供ネットワークシステム(迅速かつ安全な情報授受・共有)による、社会保障制度や税制などの行政分野における給付と負担の適切な関係の維持(3)重複する情報の提出を避けることによる国民負担の軽減(4)個人番号を用いて収集等された個人情報の適正な管理――の4つが基本となる。
個人番号を付した情報は「特定個人情報」とされ、個人番号を除いた情報は従来の個人情報として扱われる。特定個人情報については、内閣府に個人番号情報保護委員会(いわゆる「三条委員会」)が設置され、特定個人情報の取り扱いに関する監視や監督などを行う。また、特定個人情報を適切に管理するために講ずべき措置を定めた指針を作成・公表する。
個人番号を利用して行う事務の範囲は法案に明記され、これ以外の利用は原則として禁止される。医療保険等に関する手続きについては、保険料などの金銭情報を対象とするもので、個人の医療情報などに関する利用は含まれない。機微性の高い医療情報などについては、マイナンバー法および個人情報保護法の特例法として来年度の通常国会に法案が提出される予定である。
個人番号の付番後、申請により個人番号カードが交付される。カードの主な用途は、(1)対面による本人確認手段(顔写真が必須)(2)パソコンによるログイン時の認証手段――の二つが考えられる。
罰則については、個人番号を利用する者に対する直接罰以外に、個人番号情報保護委員会から出された是正命令に従わない場合の命令違反に対する罰がある。
なお、一般の企業で関わりが深い事務としては、従業員等の社会保障や税を給与から徴収する場合の事務がある。これらのケースは、法案中の「個人番号関係事務」に該当し、企業には、個人番号の適切な管理のために必要な措置を講じる義務などが生じる。この際、必要な範囲を超えて特定個人情報ファイルを作成してはならないが、昨年の「大綱」に示されたように既存のデータベース等に個人番号を付加して作成すること等は必要な範囲として認められると考えられる。
そのほか、法人番号については納税義務のある法人等に付番し、支店は付番の対象外である。法人番号の利用範囲の制限はなく、民間でも自由に利用できる。
<意見交換>
「経団連が従来求めてきた民間と行政との情報連携が可能となるよう引き続き検討してほしい」「番号制度の導入を契機とし、政府CIO(最高情報責任者)を設立したうえで行政業務の見直しを行う必要がある」といった意見に対し、内閣官房からは、「法案施行後5年を目途に見直しを行うほか、逐次改正も対応していく」「CIOの役割を明確にしたうえで設置に前向きに取り組みたい」といった見解が示された。
【産業技術本部】