
こうした中、「デフレからの完全脱却」と付加価値の増大・最大化を通じた「構造的な賃金引上げ」の実現に向けて、2023年と2024年において、多くの企業が約30年ぶりとなる高水準の賃金引上げを2年連続で行った。2025年以降も、この賃金引上げの力強いモメンタムを社会全体に「定着」させるべく、物価動向と「人への投資」の重要性を重視した検討の必要性をより意識しながら、「賃金・処遇決定の大原則」に則り、自社の実情に適した賃金引上げを各企業が積極的に検討し、実施することが求められている。
そこで、本座談会では、賃金引上げの原資を安定的に確保するために不可欠な生産性の向上に必要な環境整備や、「多様な人材」の活躍推進、円滑な労働移動の実現に向けた取り組みなどについて議論を行うとともに、2025年春季労使交渉・協議を展望する。

大橋 徹二
おおはし てつじ
経団連審議員会副議長・経営労働政策特別委員長
コマツ会長
1977年小松製作所入社。2004年コマツアメリカ社長兼COO、2007年執行役員、生産本部長、2008年常務執行役員、2009年取締役兼常務執行役員、2012年取締役兼専務執行役員、2013年代表取締役社長兼CEO。2019年から現職

遠藤 信博
えんどう のぶひろ
経団連副会長
日本電気特別顧問
1981年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。同年、日本電気入社。モバイルネットワーク担当役員、経営企画担当常務などを経て、2010年代表取締役執行役員社長、2016年代表取締役会長、2022年6月から特別顧問(現職)

原 典之
はら のりゆき
経団連審議員会副議長
三井住友海上火災保険会長
1978年大正海上火災保険(当時)入社。2016年三井住友海上火災保険取締役社長に就任。2020年MS&ADインシュアランスグループホールディングス取締役社長 グループCEO、2021年三井住友海上火災保険取締役会長(現職)、2024年MS&ADインシュアランスグループホールディングス取締役会長(現職)

首藤 若菜
しゅとう わかな
立教大学経済学部教授
2000年山形大学人文学部講師、2003年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス労使関係学部客員研究員、2007年日本女子大学家政学部講師、2011年立教大学准教授を経て、2018年から現職。中央最低賃金審議会委員を務める。近著『雇用か賃金か 日本の選択』(2022年、筑摩書房)『物流危機は終わらない─暮らしを支える労働のゆくえ』(2018年、岩波書店)など
藤原 清明
ふじわら きよあき
司会:経団連専務理事
- ■ 生産性の改善・向上に必要な制度整備と支援策
- 多様性を活かした人材育成で価値創造を
- スキルを基軸とした人事制度の構築で社内労働市場を活性化
- エンドユーザーやサプライヤーとの関係構築で新たな価値を生み出す
- 生産性向上により人口減少下でも豊かな社会を実現
- 女性がマネジメント層で活躍できる仕組みづくり
- ■ 多様な人材の活躍推進と円滑な労働移動の実現に向けた取り組み
- 魅力的な雇用創出で労働移動を促す
- 採用の多様化を進め活躍の場を広げる
- 多様な経験を持つ高齢者の労働移動と外国人の活用
- コンピテンシーを明示し合い、円滑なマッチングを
- ■ 2025年春季労使交渉・協議における基本的な考え方、今後の労使関係
- 社会全体で適正価格に対する意識を醸成
- 賃金引上げと価値創造を同時に実現
- 賃金引上げと株式報酬制度によるトータルな処遇改善
- 価格転嫁を下支えする対策が必要
- 業界が主導し、適正な価格転嫁を推進