特に東京都は、首都直下地震や激甚化する風水害などの災害や新型コロナウイルスなどの新たな感染症への対策を重要な政策課題として取り組んでいる。経済界としても、国民の生活を維持し、事業を継続するためには、事業継続計画(Business Continuity Plan)(以下、BCP)の策定を含め、災害や危機に備えることは喫緊の課題であると認識している。
そこで、本座談会では、大都市圏を中心とした災害・危機への官民の対応や、企業の事業継続力強化に向けた取り組みについて取り上げる。
小池 百合子
こいけ ゆりこ
東京都知事
アラビア語の通訳者やニュースキャスターを経て、1992年に参議院議員。1993年衆議院議員、2003年環境大臣、2004年内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)兼任、2006年内閣総理大臣補佐官(国家安全保障問題担当)、2007年防衛大臣、2010年自由民主党総務会長、2011年衆議院予算委員会理事を経て、2016年から現職(現在、3期目)
永野 毅
ながの つよし
経団連副会長、危機管理・社会基盤強化委員長
東京海上ホールディングス会長
1975年東京海上火災保険(現:東京海上日動火災保険)入社。国内外の営業、経営企画等に従事し、海外統括等の役員を経て、2013年に東京海上ホールディングスと東京海上日動火災保険の社長に就任。「To be a Good Company」というビジョンを掲げ、グループ一体経営を推進。2016年に東京海上ホールディングスの社長兼グループCEOに専念。2019年から現職。
安川 健司
やすかわ けんじ
経団連審議員会副議長、危機管理・社会基盤強化委員長
アステラス製薬会長
1986年山之内製薬(現:アステラス製薬)入社。25年ほど臨床開発に従事。2017年に代表取締役副社長、2018年に代表取締役社長CEO。2023年4月から代表取締役会長に就任
長谷川 知子
はせがわ ともこ
司会:経団連常務理事
- ■ 大規模災害への官民の対応
- 「100年先も安心」を目指して「TOKYO強靭化プロジェクト」を推進
- 国民や企業に「自分ごと」の意識が芽生えるように
- リスクの低い地域での居住を促す「事前復興」
- ■ 感染症を中心とした「危機」への官民の対応
- 東京iCDCによる感染症対策など、総合的な医療提供体制「東京モデル」を構築
- 司令塔機能を強化し、政府主導のワクチン・治療薬開発・医薬品の備蓄を進める
- 有事に備え、医療DXの推進、薬事規制の緩和が必要
- ■ 経済界への期待と官民連携
- 在宅避難、帰宅困難者に対する企業のさらなる協力に期待
- 通信等の途絶への備えと危機管理意識の醸成
- 企業に求められる「オールハザード型BCP」
- 重要な医薬品の国内生産を国策として進めるべき
- 多様な災害の発生と被害の甚大化が進む時代に