こうした中、デフレからの完全脱却に向けて、わが国経済の安定的かつ持続的な経済成長を実現し、賃金引上げと総合的な処遇改善・人材育成に取り組むことを通じて「成長と分配の好循環」を回していくことが必要となる。そのため、各企業において、生産性の改善・向上を図り、賃金引上げの原資を継続的に確保することが求められている。
そこで本座談会では、2023年に続いて物価上昇局面で行われる2024年春季労使交渉・協議における対応とあわせて、生産性の改善・向上に向けた働き方改革やDE&I、円滑な労働移動の推進などについて展望する。
大橋 徹二
おおはし てつじ
経団連審議員会副議長・経営労働政策特別委員長
コマツ会長
1977年小松製作所入社。2004年コマツアメリカ社長兼COO、2007年執行役員、生産本部長、2008年常務執行役員、2009年取締役兼常務執行役員、2012年取締役兼専務執行役員、2013年代表取締役社長兼CEOに就任。2019年から現職。
小路 明善
こうじ あきよし
経団連副会長
アサヒグループホールディングス会長
1975年アサヒビール入社。2001年執行役員、2007年常務取締役兼常務執行役員、2011年取締役兼アサヒビール代表取締役社長、2016年代表取締役社長兼COO、2018年代表取締役社長兼CEOに就任。2021年から現職。
稲垣 精二
いながき せいじ
経団連審議員会副議長
第一生命ホールディングス会長
1986年第一生命保険入社。2012年第一生命保険執行役員、2015年同常務執行役員、2016年同取締役常務執行役員、第一生命ホールディングス取締役常務執行役員、2017年第一生命ホールディングス代表取締役社長、2022年同代表取締役社長(Chief Executive Officer)に就任。2023年から現職。
滝澤 美帆
たきざわ みほ
学習院大学経済学部教授
2002年学習院大学経済学部卒業。2008年一橋大学大学院経済学研究科博士号(経済学)取得。2008年東洋大学経済学部専任講師、2011年同大学准教授、2017年同大学教授、2019年学習院大学経済学部准教授に就任。2020年から現職。
藤原 清明
ふじわら きよあき
司会:経団連専務理事
- ■ 働き方改革とDE&Iのさらなる推進に向けた取り組み
- データ分析から見える生産性向上のための戦略
- 構造のひずみが生んだ現状と社会全体への働きかけ
- “慣性の法則”を打開するZBBという取り組み
- マジョリティの目には見えないマイノリティの壁
- ■ 「円滑な労働移動」の推進による生産性の改善・向上
- 能力発揮と賃金保障によって「流動雇用社会」を生む
- 退社・転職に対する考え方の変化
- 10年単位で見直すキャリアデベロップメント
- ■ 2024年春季労使交渉・協議における対応
- 会社と従業員が共に企業価値の向上を目指す
- 「人的資本経営」をゼロベースで考える“人への投資元年”
- 中小企業の賃金引上げ実現に向けて
- コストプッシュ型のインフレから円滑な労働移動まで