本座談会では、哲学、経済学、文化人類学、経済史学など、各界第一線の研究者が一堂に会し、社会性の視座のもと、資本主義のこれまでと今後のあり方について、対話を行った。
中島 隆博 なかじま たかひろ
東京大学東洋文化研究所所長
経団連21世紀政策研究所研究主幹
東京大学大学院総合文化研究科准教授を経て2023年4月から現職。研究分野は、中国哲学、世界哲学。主な著書に、『思想としての言語』(岩波現代全書、2017年)、『危機の時代の哲学-想像力のディスクール』(東京大学出版会、2021年)、マルクス・ガブリエル&中島隆博『全体主義の克服』(共著、集英社新書、2020年)、『中国哲学史-諸子百家から朱子学、現代の新儒家まで』(中公新書、2022年)、編著に伊藤邦武・山内志朗・中島隆博・納富信留編『世界哲学史』全8巻+別巻(ちくま新書、2020年)など。
小野塚 知二 おのづか ともじ
東京大学特命教授/東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)コチェア
東京大学社会科学研究所助手、横浜市立大学商学部助教授、東京大学大学院経済学研究科助教授、教授を経て2022年4月から現職。主な著書に『大塚久雄から資本主義と共同体を考える-コモンウィール・結社・ネーション-』(梅津順一と共編著、日本経済評論社、2018年1月)、『経済史:いまを知り、未来を生きるために』(有斐閣、2018年2月)、小野塚知二編著『第一次世界大戦開戦原因の再検討-国際分業と民衆心理-』(岩波書店、2014年12月)、『共同体の基礎理論 他六篇』(小野塚知二編、岩波文庫、2021年12月)など。
小川 さやか おがわ さやか
立命館大学大学院先端総合学術研究科教授
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科単位取得退学。国立民族学博物館助教、立命館大学准教授を経て現職。主著に『都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌』(世界思想社、2011年。第33回サントリー学芸賞)『「その日暮らし」の人類学-もう一つの資本主義経済』(光文社新書、2016年)『チョンキンマンションのボスは知っている-アングラ経済の人類学』(春秋社、2019年。第8回河合隼雄学芸賞、第51回大宅壮一ノンフィクション賞)など。
安田 洋祐 やすだ ようすけ
大阪大学大学院経済学研究科教授
2002年に東京大学経済学部を卒業。2007年米国プリンストン大学Ph.D.を取得(経済学)。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から現職。編著に『改訂版 経済学で出る数学 高校数学からきちんと攻める』(日本評論社、2013年)。監訳に『オークション・デザイン:ものの値段はこう決める』(早川書房、近刊予定)、『ラディカル・マーケット 脱・私有財産の世紀』(東洋経済新報社、2019年)、共著に『資本主義はどこに向かうのか-資本主義と人間の未来』(日本評論社、2019年)など。
久保田 政一 くぼた まさかず
司会:経団連副会長・事務総長/経団連21世紀政策研究所所長
- ■ 資本主義のこれまでと今を考える
- モノやコトを超えた「人の資本主義」を
- 人間の生の価値合理性と資本主義の目的合理性の間の相克
- 人間という形で貯金するインフォーマル経済の商人たち
- 無限の欲望の根底にある、人間の社会性
- ■ 資本主義のこれからを考える
- 今後の資本主義を活かし補完する「社会的共通資本」
- 資本主義の本当の生命力が試されている
- 「人間」の生に向き合う倫理的経済を
- 人間の代え難さが組み込まれた経済の必要性
- ■ これからの資本主義経済における企業行動とは
- 新たな企業が生まれる健全な環境作りを
- エシカルなマインドでの投資が新たな資本主義のドライバーに
- 異なる社会のロジックから「当たり前」を問い直す
- 不完全で弱い人間を主体とした資本主義のあり方