2023年4月に「こども家庭庁」が発足する。これまで高齢化対策が中心であった我が国も、ようやく“こども”に光が当たり始めた。人口減少問題に猶予はなく、少子化対策は待ったなしで国を挙げて取り組む必要がある。
増加が続く世界人口もいずれはピークが訪れる。一足早く人口減少を迎えた我が国がこの問題の解を示すことは、将来の世界に向けた貢献にもつながる。そのためにも、人口減少をピンチではなく、変革のためのチャンスであるとポジティブに捉えたい。
人口減少問題の糸口は、東京一極集中の是正、そして子育て世代の所得水準向上・働き方改革にある。
地方は、暮らしやすく子育てもしやすい環境にあり、3世代居住や地域における人々のつながりもあって、東京より高い出生率にそれが表れている。こうしたポテンシャルを顕在化させるには、魅力ある文化のもとで幸せな地域を創り、より一層若者を惹きつけることが必要だ。経済界も、それぞれの地域の強みや個性を活かした持続可能な産業を興し、若者が未来にわたって安心して暮らせる社会経済基盤を創っていく役割がある。
また、若い世代には、仕事も家事・育児も男女平等に行うことを当たり前とする価値観も出始めている。企業は、これからの世代の暮らし方や生き方の変化に即応し、新しい働き方の実現に資する環境整備や子育て世帯の生計が成り立つよう、若年層へ賃金・手当の配分を手厚くする等の処遇改善が望まれる。
こどもは、未来であり希望である。将来の経済・社会を支える担い手をどう育んでいくか、経済界としても、人口問題という我が国最大の課題解決に対する役割発揮に向け、率先して応えていきたい。
働きやすいだけでなく、働き続けたい社会。子育てしやすいだけでなく、子育てしたいと思う社会。我々現役世代が、前向きに夢のある将来像を描き、多様な個々人が主体性を発揮できる社会を築き、豊かな文化と自然溢れる国土とともに、次の世代に引き継いでいきたい。