第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が11月に開催されるが、議論のベースとなるパリ協定は産業革命前と比較した気温上昇を一定レベルに抑えることを目標としている。
18世紀半ばからの産業革命以降の潮流の1つは「都市化」という言葉に代表される「集中」だったと思う。この集中という潮流は新型コロナウイルスで転換点を迎えた。世界中の多くの企業において、オフィスへの集中から在宅勤務という「分散」が起こった。都市ではなく、地方に住むことの魅力も向上した。毎年米国ラスベガスで開催され、2020年1月には約4400社が出展したテクノロジーの国際展示会「CES」も今年はオールデジタルでの開催となり、各社それぞれの拠点からの参加となった。これも集中から分散への転換といえる。気候変動リスク対応においても分散への転換が必要になるのではないかと思う。
人がネットワークに繋がることにより、在宅勤務の生産性は確保されている。今後はIoT、即ちモノがネットワークに繋がる社会となる。分散されたIoTデバイス側に高度なセンシング機能や処理機能を持たせることで、社会の生産性向上に加え、クラウド側を含めたネットワーク全体の電力消費とデータ通信量の削減を実現し、社会のサステイナビリティを高めることに貢献出来ると考えている。
また既存の大規模な電力系統システムに、分散型のマイクログリッドを併存させることも、再生可能エネルギー利用の促進や電力サプライチェーンの強靭化に資する可能性が高い。当社では小規模のコミュニティー内で電力を直流で相互に融通出来る太陽光パネルと蓄電池を組み合わせたマイクログリッドシステムを、沖縄での5年間の実証実験を経て開発し、その成果をオープンソース化している。
「分散」は人、社会、地球環境のサステイナビリティのキーワードとなり得るのではないか。
一企業として少しでも貢献出来ればと考えている。