大橋 徹二(経団連副会長、経営労働政策特別委員長/コマツ会長)
「良いコマツ(人への投資)」は「強いコマツ(会社業績の向上・安定)」があって実現できるものという労使共通認識のもと、年間を通じて労使で議論を行い総合的な処遇改善を実施してきている。これまでの働き方改革フェーズⅠでは、労使で目標を共有し、労働時間の削減、年次有給休暇取得促進など一定の成果を上げてきた。働き方改革フェーズⅡに向けては、ダイバーシティ経営の推進やエンゲージメント向上に向けた継続的な取り組みが重要。グローバルに現場で課題を発見できる人材をいかに育てていくかが今後の課題。雇用システムの見直しは「自社流」かつ「自然体」が大切と考えている。
岡本 毅(経団連副会長、雇用政策委員長、教育・大学改革推進委員長/東京ガス相談役)
昨年11月に策定・発表した長期ビジョン「Compass 2030」のなかで、今と未来の仲間(従業員)との間で、多様性がぶつかり合い、切磋琢磨する場をつくることを約束している。社員の意識喚起が重要であり、「グループダイバーシティ推進チーム」を設置し日常的な働きかけを行うとともに、「人材公募制度」「フリーエージェント制度」「女性メンター制度」といった施策を展開し、多様な人材の能力開発、キャリア形成支援を進めている。多様性を追求しながら、メンバーシップ型雇用システムの強みを活かしたい。
畑中 好彦(経団連審議員会副議長、イノベーション委員長/アステラス製薬会長)
イノベーション創出には、国内外のトップタレント獲得が不可欠であり、「選ばれる企業」になるため、グローバルに魅力的な雇用システムを確立することを目指している。その考え方のもと、日本では、社員一人ひとりの豊かな生活と生産性・創造性の高い働き方の両立を目指して働き方改革に取り組んでおり、働き方改革フェーズⅡに向けては、多様な価値観を持った社員一人ひとりが、自らの働き方を創意工夫し、創造性を高めていくことを後押しするような取り組みを充実させている。
武石 恵美子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
各社の事例から、経営戦略に根差した働き方改革が進んでいることをあらためて実感した。上からの「働かせ方改革」ではなく、個人が主体的に動くこと、どうエンゲージメントを高めるかといったことが重視されるようになってきている。ダイバーシティに関しては、女性や外国人が注目されがちだが、今後は個々人の多様性に目を向けていく必要があるだろう。学生のなかには、メンバーシップ型よりもジョブ型雇用を受容する傾向が見られ、自分らしい働き方の実現を安定ととらえるようになっている。新卒一括採用をはじめとする日本型雇用システムの修正が求められている。
椋田 哲史(司会:経団連専務理事)
- ■ Society 5.0時代にふさわしい働き方を目指して
- 「強いコマツ・良いコマツ」を目指して
- 2030年に向けた羅針盤「Compass 2030」
- 一人ひとりの創造的な働き方が社会課題の解決につながる
- 地に足の着いた働き方改革が進んでいる
- 「エンゲージメント」を高める施策・取り組み
- 自ら動く人材には挑戦する機会を提供
- 現場で課題を発見できる人材が不可欠
- 予測困難な時代こそ多様な人材の育成が不可欠
- 「ブロック塀」ではなく「石垣」のような組織が強い
- メンバーシップ型雇用システムの「強み」は活かしたい
- 海外のトップタレント獲得が不可欠
- 「自社流」で自然体に雇用システムを変えていく
- 学生たちは会社に「安定」を求めていない
- ■ 2020年春季労使交渉における経営側の基本スタンス
- 2020年版経労委報告に基づく経営側の基本スタンス
- 労使協調が今後ますます重要になってくる
- 「選ばれる企業」になるための努力を
- 一律、横並びではない議論を
- 企業内における労使のコミュニケーションが大切