少子高齢化の進展にいかに対応していくか、さまざまな議論が行われるなかで、高齢者に、より一層の活躍を求めるというのは必然的な流れだ。その際、まだまだ知力、気力、体力に溢れている高齢者に、生きがいがあり充実感に満ちた生活を送ってもらうという視点で考えることが大切だと思う。
今、中学校・高等学校において、課外活動とりわけスポーツ系クラブ活動の運営が難しくなりつつあると聞く。先生方の負担が重くなり過ぎているのが主因だ。競技経験のない先生が顧問とならざるを得ない例も多いようだ。
こうした分野において、知見のある学外の高齢者が活躍する余地はないものだろうか。野球、サッカー、テニス、柔剣道などなど、昔取った杵柄で、子どもたちの指導をしてもよい、という方は案外たくさんいらっしゃるのではないか。
もしそうした方々の参加が実現すれば、先生方の負担を軽くしつつ、学校スポーツを充実させる道が開ける。参画する高齢者の方々も、社会に貢献するという充実感を持ちつつ子どもたちに接し、生きがいある時間を過ごせるだろう。
文部科学省は昨年4月、「部活動指導員制度」を発足させた。定められた規則と校長の監督のもと、外部の適任者が部活動の技術指導や大会への引率等を行うという制度だ。こうした制度と、例えば「シルバー人材センター」などが行っている高齢者の活躍を促進する事業をうまく連携させる仕組みをつくれば、大きな成果が生まれるかもしれない。
このような取り組みを定着させるためには、報酬の多寡、費用負担や事故が起きたときの責任の問題、関連する公私の諸規則など、多くの解決するべき課題が残っているものと想像される。しかし、今、大切なことは、できない理由を並べるのではなく、少子高齢化という大きな社会構造変化のなかで、どうすれば一歩でも前へ進むことができるか、皆で知恵を出し合うことだ。
学校スポーツへの高齢者の貢献というテーマは、こうした大切な課題を提起している。