GDP600兆円経済への確固たる道筋をつける
世界の政治経済情勢は、保護主義の台頭やナショナリズム志向の広がりが懸念されるなか、先行き不透明感を増している。このような時にあって、わが国は先頭に立ち、自由で開かれた国際経済秩序を維持・発展させ、世界経済の成長をけん引していかなければならない。同時に、政権基盤が安定している今だからこそ、社会保障制度改革や財政健全化、抜本的な規制改革など、国民の痛みを伴う改革に真正面から取り組むべきである。
世界の政治経済情勢は、保護主義の台頭やナショナリズム志向の広がりが懸念されるなか、先行き不透明感を増している。このような時にあって、わが国は先頭に立ち、自由で開かれた国際経済秩序を維持・発展させ、世界経済の成長をけん引していかなければならない。同時に、政権基盤が安定している今だからこそ、社会保障制度改革や財政健全化、抜本的な規制改革など、国民の痛みを伴う改革に真正面から取り組むべきである。
日本経済は、デフレ脱却・経済再生の正念場にある。個人消費をはじめとした内需に加えて、外需も力強さに欠く状況が続く。海外に目を転ずると、各地で頻出する紛争やテロ、新興国経済の減速とその影響が懸念される一方で、EU離脱を問う英国の国民投票と米国の大統領選挙の結果を踏まえた欧米諸国の今後の行方から目が離せない。先行きに対する不透明感が高まる世界経済のなかで、アベノミクスを再加速させ、デフレ脱却・経済再生を実現するために、政府、企業それぞれが果たすべき役割とは何か。
新年にあたり、内外の経済情勢を展望しながら、民需主導の力強い成長の実現に向け、新たな有望市場の創出を中心とした需要喚起、そのための事業環境の整備、そして財政・金融政策の今後のあり方を議論する。
武田洋子(三菱総合研究所政策・経済研究センター副センター長)
2017年の世界経済を展望するうえでの注目ポイントは、米国新政権の政策運営、欧州の政治情勢、中国経済の動向である。現時点では上振れ・下振れ両方の可能性をみておくしかない。日本は、決してぶれずに、抱えている課題の克服に取り組んでいくことが肝要であり、そのために必要な改革の実行やイノベーションに、人々の英知を結集すべき。チャレンジする人を皆で応援することによって、質の高い成長と持続可能な社会を両立し、世界から信頼を集める成熟国になれる。
渡邊頼純(慶應義塾大学総合政策学部教授)
Brexit、米国の新大統領の2つが世界経済の最大の不確実性である。成長戦略の重要な柱であったTPPが頓挫した場合に備え、二国間主義、相互主義の重視を表明している米国新政権の動向をよく見極めるべき。さらに、日EU EPA、RCEP、日中韓FTAなどの規模の大きな経済連携交渉を、日本のイニシアティブのもと進めていく必要がある。英国のEU離脱に対しても、「No Brexit」の可能性も含め、しっかり情報収集を行い、対策を練っておかなければならない。
中西宏明(経団連副会長/日立製作所会長)
日本経済は全体としてまだら模様だが、悲観的な感覚はない。Society 5.0という新たな社会の建設に向かって、2017年はさまざまなものが動き出す年になる。第5期科学技術基本計画がスーパースマート社会Society 5.0を目指すことを宣言してから、実際の技術革新のスピードに後押しされるかたちで、政府も迅速に対応している。現在、未来投資会議で議論している内容が、2018年の成長戦略に盛り込まれる予定である。今は、政界と経済界の間で問題意識が合致しており、官民一体で取り組む好機だと考える。
國部 毅(経団連副会長/三井住友銀行頭取)
2017年の国際金融情勢を展望するとき、グローバルなマネーフロー、欧州の政治情勢、中国経済、反グローバル化・保護主義の台頭がポイントとなる。トランプ米新大統領に関しては、従来の金融・経済環境を一変させる(ゲームチェンジ)可能性がある。日本経済の活性化のためには、新技術の利活用、既存産業の成長産業化、ベンチャーの創出強化が重要である。政府に対しては、金融政策頼みではなく、財政政策、構造改革を伴う成長戦略から成るポリシーミックスの実行を期待している。
久保田政一(司会:経団連事務総長)
アベノミクスのさらなる加速に向けて
石原伸晃(内閣府特命担当大臣(経済財政政策))
第4次産業革命の実現に向けて
―新産業構造ビジョン
世耕弘成(経済産業大臣)
トランポノミクスと日本経済の課題
岩田一政(日本経済研究センター理事長)
財政再建・金融緩和の行方
熊野英生(第一生命経済研究所首席エコノミスト)
経済再生に向けた日本経済の課題
福田慎一(東京大学大学院経済学研究科教授)
広がる投資概念と企業戦略の方向性
宮川 努(学習院大学経済学部教授)
持続可能な社会保障制度を目指して
加藤久和(明治大学政治経済学研究科教授)
監査監督機関国際フォーラムの常設事務局開設の意義
―わが国初となる金融関係国際機関の本部設置
佐々木清隆(金融庁IFIAR常設事務局設立準備本部長兼証券取引等監視委員会事務局長)
日印経済関係のさらなる強化を確認
―日印ビジネス・リーダーズ・フォーラム、モディ首相と日印ビジネス・リーダーとの懇談会、モディ首相歓迎昼食会を開催
榊原定征(経団連会長)
【提言】
Society 5.0実現に向けた政府研究開発投資の拡充を求める
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/104.html
内山田竹志(経団連副会長、未来産業・技術委員長/トヨタ自動車会長)
小野寺 正(経団連未来産業・技術委員長/KDDI会長)
【提言】
宇宙産業ビジョンの策定に向けた提言
―高い技術力・信頼性・品質を源泉に競争力を強化
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/105.html
下村節宏(経団連審議員会副議長、宇宙開発利用推進委員長/三菱電機相談役)
【提言】
外国人材の受け入れ促進に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/110.html
岡本圀衞(経団連副会長、人口問題委員長/日本生命保険会長)
隅 修三(経団連審議員会副議長、人口問題委員長/東京海上ホールディングス会長)
COP22の成果と今後の課題
―今後の「パリ協定」のルールづくりと国内温暖化対策のあり方について
木村 康(経団連副会長、環境安全委員長/JXホールディングス会長)
環境の激変に備えて
―21世紀政策研究所の活動
http://www.21ppi.org/
三浦 惺(21世紀政策研究所所長/日本電信電話会長)
企業スポーツの新たな挑戦
時代のニーズに応えて企業スポーツの役割を進化
―JXエネルギーの取り組み
地域と企業の連携が未来を生み出す
未来のために「海の砂漠化」と闘う
―北海道・神恵内村の挑戦
経営者のひととき
趣味雑感…
大谷邦夫(ニチレイ社長)
Essay「時の調べ」
長唄のこれから
杵屋勝国(長唄三味線演奏家)
EUと英国の食卓の今後
新明由美(在英国日本国大使館一等書記官)