石塚邦雄 (経団連副会長・生活サービス委員長/三越伊勢丹ホールディングス会長)
生活者の消費スタイルは、多様化を超えて「パーソナル化」しつつあり、モノよりもコトに対するニーズが高くなっている。今後は生活者と接点を持つ産業が重要となるとともに、ニーズに応えるためには大企業にもベンチャー視点が必要となる。一方、2020年までにGDP600兆円を実現するためには、個人消費を60兆円引き上げる必要がある。人口減少のなかでこれを生み出すのはサービス産業しかない。経団連では、生活サービス委員会のもとに「消費拡大プロジェクト検討チーム」を立ち上げ、業界の枠を超えた連携を模索している。
奥山恵美子 (仙台市長)
自治体と企業の連携においては、「ご縁」があること、お互いに「家風」が合うことが大切だと考えている。経団連には、自治体と企業をマッチングする「場」の構築を期待する。連携がうまくいった事例として、NTTドコモと共同で運営するコミュニティサイクル事業「DATE BIKE(ダテバイク)」や、フィンランド政府との「フィンランド健康福祉センタープロジェクト」がある。このたび、経団連との連携に取り組むことになった。どのような提案が出るか、楽しみにしている。
斎藤敏一 (ルネサンス会長)
総合スポーツクラブの運営からシニア層の健康増進や介護予防に関するビジネスへと事業を展開することで、健康産業の立場でスポーツによる国民の健康づくりに取り組んできた。個人の健康増進は、社会保障にかかわる国の財政負担を減らし、持続可能な国づくりへの貢献にもつながる。近年、サービス産業の生産性の低さが指摘されているが、海外から高く評価されている「おもてなし」の精神など、従来の生産性の指標では測れない「質」の部分にも注目すべきである。幸いその気運は高まりつつある。
澤田 純 (司会:経団連生活サービス委員会企画部会長/日本電信電話副社長)
横浜市、仙台市との具体的な意見交換、連携に取り組むなかで、自治体がハブとなって、地元企業を含めたさまざまな企業が連携していくことが肝要であると痛感した。また、サービス産業の活性化・生産性向上にはICT利活用が欠かせない。日本企業も、さまざまな垣根を越えてサービスを提供するようなビジネスモデル、システムを海外展開していくことが求められていると考えている。
- ● 生活サービス産業の重要性
- パーソナル化する生活者のニーズにいかに応えるか
- 国民の健康づくりで、持続可能な国づくりに貢献
- 変化する地方都市住民のニーズと行政サービス
- ● 生活者のニーズに対応する異業種・行政との連携
- 「DATE BIKE」とフィンランドプロジェクト
- 地域における健康社会実現をビジネスにつなげる
- ビジネスアイデアコンテストで地方創成に貢献
- ● 生活サービス産業の活性化に向けた方向性
- サービス産業が先頭に立って海外進出する時代が来た
- サービス産業が地域の人口を支える
- GDP600兆円に向けて個人消費引き上げの鍵はサービス業