中西宏明 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所会長)
グローバル化の時代にあっては、多様な人材が協働して事業を組み立てていくのが大前提となる。多様性を柔
軟に受け入れ、自分の考えを堅持し、なおかつ自ら発信できるような力が、最も必要となってくる。したがって、当社のような製造業のエンジニアであっても、理系分野の専門性だけでなく、リベラルアーツの素地が求められる。産学連携は新たなステージに入った。知財管理の問題等を克服し、もっとオープンにイノベーション創出に努めなければ、グローバル競争に勝ち残ることはできない。アカデミズムとの対話のレベルを上げる必要がある。
永田恭介 (筑波大学学長)
戦後の日本は、終戦直後、高度経済成長期と、大きく躍進した時期が2回あり、その原動力となったのは当時を担った人々が受けた教育である。そこで、教育改革を議論する前に、従来の教育について検証する必要がある。大学が初等中等教育に対してメッセージを発信できるのは入学試験である。伝統や特色を踏まえて、各大学がアドミッションポリシーを策定し、メッセージを発信していくべきである。本学では、キャンパスのグローバル化を進める方策の一つとして、IB入試や、入試の多言語対応を行っている。
佐藤正光 (東京学芸大学附属国際中等教育学校長)
本校は、国公立では初めてのIB認定校として中高6年間の一貫したカリキュラムでIB教育を実施している。また、海外帰国生や外国籍の生徒を積極的に受け入れ、国際理解・人間理解・理数探究を柱に、生徒がともに学び、互いを高め合える環境を整えながら、グローバルな視野を持つ生徒の育成に力を入れている。文部科学省のSSH、SGHの指定校となったため、海外との交流が一層盛んになった。これを機に、より社会とかかわる学習を充実させていきたい。
漆 紫穂子 (品川女子学院校長)
課題解決能力の前提として、「人の役に立ちたい」という精神・志を育てることが重要である。本学では、「デザインシンキング」を取り入れ、身近な課題を見つけて、周囲を巻き込みながら最適解を探っていくという体験学習を行い、自分と社会とのかかわりを考える良い機会としている。女性は、出産というライフイベントがあるため、より早くライフプランを考える必要がある。28歳の自分をイメージする「28Project」では、企業と連携した商品開発などを行っている。
三宅龍哉 (司会:経団連教育問題委員会企画部会長/富士通常務理事)
- ●産業界が求める人材像
- 専門性とともに求められる基礎的教養
- ●求められる人材育成に向けた教育改革
- 入学試験は大学からのメッセージ
- IB教育は「自分で考える生徒」を育てる
- 「人の役に立ちたい」という志を育てる
- 自己肯定感の低い日本人
- リベラルアーツの重要性
- 突出した才能を持った子どもをいかに育てるか
- ●これからの教員のあり方
- 海外経験や社会人経験がプラスになる
- 校長にもっと裁量権を
- 教育学部に留学生を増やす
- ●人材育成に向けた産業界との連携
- 企業の研究現場で学生が学べる環境をつくる
- 実際に社会とかかわる学習が大切
- 企業とのコラボで商品開発
- 産学連携は新たなステージに入った
- 日本企業というフィールドを選択してもらうために