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月刊 経団連  座談会・対談 経済・財政一体改革の推進に向けて

後藤茂之
衆議院議員/自由民主党日本経済再生本部幹事長・政務調査会副会長・税制調査会インナー幹事

岡本圀衞
経団連副会長・人口問題委員長
日本生命保険会長

吉川 洋
東京大学大学院経済学研究科教授

石原邦夫
経団連副会長・経済財政委員長
東京海上日動火災保険相談役

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石原邦夫 (経団連副会長・経済財政委員長/東京海上日動火災保険相談役)
将来世代に負担を先送りする財政構造を改めなければ、国民、企業は消費の拡大や投資に踏み切れず、経済の好循環に水を差すことになりかねない。骨太方針や日本再興戦略で示された方針は、イノベーションとグローバリゼーションを軸とする成長戦略の推進を訴えてきた経団連の考え方と同じ方向にある。歳出削減については、閣議決定された骨太方針のとおり、歳出全般について聖域なく合理化し、見直す必要がある。国民全体の意識や行動を変えるために、政治が責任ある姿勢を示すことが重要となる。

吉川 洋 (東京大学大学院経済学研究科教授)
日本の財政は非常に厳しい状況にあり、日本経済にとって最大のリスクとなっている。金利、国債マーケットが安定し、危機が顕在化していない今こそ、財政再建を粛々と進めなければならない。歳出面から見ると、社会保障改革と財政再建は同義である。社会保障改革を進めるためには、国民の理解を得ることが不可欠である。合理的に説明のつかない部分については、たとえ抵抗があっても改革を進めるべきである。政府には、国民への情報発信を丁寧に行っていくこと、強いリーダーシップを発揮して改革を断行することが求められる。

岡本圀衞 (経団連副会長・人口問題委員長/日本生命保険会長)
社会保障給付費の抑制にあたっては、国や地方自治体が負担する社会保障関係費のみならず、個人や企業が負担する社会保険料を含めて考える必要がある。その際の重要なポイントは「見える化」と「負担のあり方の見直し」である。国民の理解と納得が得られるよう見える化を進めるとともに、受益と負担のバランスを図る観点から高齢者にも一定の負担をお願いする必要がある。社会保障制度維持のためにも、人口問題解決が重要であり、高齢者から若者への社会保障財源の配分見直しについても国民に理解を求めていかなければならない。

後藤茂之 (衆議院議員/自由民主党日本経済再生本部幹事長・政務調査会副会長・税制調査会インナー幹事)
政権交代以降、大胆な金融政策・機動的な財政政策・民間投資を喚起する成長戦略(三本の矢)を一体として進めてきたが、やっと経済の好循環が現れている。この機会をとらえ、悪化の一途をたどってきた財政再建に正面から取り組まなければならない。社会保障改革については、世界に冠たる国民皆保険・皆年金の制度を維持し、次世代に引き渡すことがその目的である。これまでの政権が先送りしてきた改革を断行するために、私たち政治に身を置く者が、リーダーシップを発揮し、勇気を持って取り組んでいきたい。

阿部泰久 (司会:経団連常務理事)

  • ●財政に対する問題意識と財政健全化計画に対する全般的評価
  • 財政問題は日本経済にとって最大のリスク
  • 財政再建は実行あるのみ
  • 将来世代に負担を先送りしてはならない
  • 社会保障給付金全体の抑制を図っていくべき
  • ●成長戦略の推進
  • イノベーションとグローバリゼーションを軸とする成長戦略の推進
  • 経済成長の鍵はイノベーション
  • 人口一億人を維持するために
  • 「横串と団子」で好循環を実現
  • ●社会保障改革と地方行財政改革を中心とした歳出改革のあり方
  • 重要な「見える化」と「負担のあり方の見直し」
  • 政治がリーダーシップを発揮し改革の断行を
  • 世界に冠たる国民皆保険・皆年金を次世代に引き渡すために
  • 聖域なき歳出の合理化を
  • 地方交付税交付金を「バラマキ」にしないために
  • ●国民理解の醸成、意識・行動改革の促進
  • 公的サービスに対するコスト意識を持ってもらう
  • 人口問題解決に向けて国民の理解を
  • 国民への情報発信、政治のリーダーシップが不足している現状
  • 勇気を持って改革に取り組む覚悟

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