小島順彦 (経団連副会長/三菱商事会長)
日本の成長戦略にとって、経済連携への積極的な取り組みは不可欠であるが、最も重要なのはTPPである。TPP交渉は正念場を迎えており、日米双方のリーダーシップに期待する。グローバル競争に勝つにはイノベーションが不可欠。グローバル化とイノベーションが日本の成長戦略の両輪となるべきである。持続可能な成長を実現する環境整備に取り組むうえで、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は、絶好の機会となるだろう。
奥 正之 (経団連副会長/三井住友フィナンシャルグループ会長)
世界経済は、全体として緩やかな成長軌道に乗っている。国際金融情勢は、日本を含む先進国の中央銀行による金融緩和政策が続くなか、リスクを内包しつつも、安定的に推移するだろう。日本のメガバンクは、ポストバブル期を経て、アジアの成長を足掛かりとして、2005年あたりから反転攻勢。バーゼルⅢ、各国規制、TLACなどの金融規制による世界経済への累積的かつ複層的な影響をしっかりとモニターしつつ、内外において金融仲介機能、情報仲介機能を果たしていく。
友野 宏 (経団連副会長/新日鐵住金副会長)
世界的に見て鉄鋼業は成長産業であり、量的にも質的にも成長を続けている。当社の戦略としては、国内の製造基盤を徹底的に強化したうえで、成長する海外マーケットを捕捉していきたい。基礎産業素材である鉄鋼は、使ってもらって初めて価値が生まれる。競争力のある鉄鋼をつくり、日本のものづくりに貢献していくために、他国の鉄鋼業と同じ土俵で戦えるよう、イコールフッティングが必要である。日本の鉄鋼業は、あらためてプロセスイノベーションに挑戦し、他国を圧倒する技術の獲得を目指していく。
内山田竹志 (経団連副会長/トヨタ自動車会長)
自動車の世界市場は、新興国市場の拡大に支えられ、引き続き拡大するだろう。世界販売における日系メーカーのシェアは30%で世界一であるのに対し、生産は11%と、海外生産が進んできている。当社は「需要のあるところで生産する」という方針であるが、新興国の多様な需要に対応して、日本からの輸出が増える可能性はある。新しい環境技術、安全技術を装備した自動車を先進国に売り込んでいくためにも、開発拠点、マザー工場としての日本の位置付けは重要である。
久保田政一 (司会:経団連事務総長)
- ●世界経済の展望と各社における事業の展開と課題
- アジアの成長を足掛かりに反転攻勢へ転じている
- 商社にとって変化が大きな時ほどビジネスチャンスはある
- 世界的に見て鉄鋼業は成長産業である
- 環境技術と安全技術が自動車産業成長の推進力
- ●事業戦略の実施に必要となる政策課題
- TPPをはじめ経済連携への積極的な取り組みは不可欠
- 新興国におけるビジネスインフラ整備を後押しする
- 事業環境の国際的なイコールフッティングが重要
- 累積的かつ複層的な金融規制は海外展開のネック
- ●グローバリゼーションの進展と日本経済の発展
- マザー工場・R&D拠点として国内事業基盤を強化
- 国内事業を継続するためには少子化問題に取り組むべき
- 日本独自の精神・文化を活かした新しい技術・サービスの創出
- グローバル化とイノベーションが日本の成長戦略の両輪
- ●日本経済への貢献に向けた課題
- 日本でビジネスが継続できる環境整備を
- 近隣諸国との外交の安定が日本経済の安定につながる
- 東京オリンピック・パラリンピックを最大限に活用
- あらためてプロセスイノベーションを