1. トップ
  2. 月刊 経団連
  3. 2014年
  4. 6月号
月刊 経団連

月刊 経団連2014年6月号

特集 企業によるスポーツ支援の強化に向けて

巻頭言

スピード感のある財政再建を目指せ

勝俣宣夫 (経団連副会長/丸紅相談役)

日本の政府債務残高が膨張を続ければ、財政は破綻への道をたどる。思い返せば、財務大臣を経験した首相の多くは財政再建に前向きであった。これは偶然ではなかろう。財務省の説明に切迫感があったのか。あるいは、国際会議での議論を通じ、財政の健全性がいかに重要であるかを身に染みて感じていたのかもしれない。

続きを読む

特集

企業によるスポーツ支援の強化に向けて

2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催決定は、日本中に活力と明るさをもたらした。大会の成功に向けて、スポーツ界のみならず、政府、大会組織委員会、東京都、経済界、国民が一丸となり、オールジャパンで取り組まなければならない。6年後を見据え、スポーツが持つ力をあらためて認識するとともに、アスリートたちの現状、求められるスポーツ振興策、スポーツ支援のために企業が果たすべき役割などについて議論した。

座談会:企業によるスポーツ支援の強化に向けて

  • 豊田章男 (経団連スポーツ推進委員長/トヨタ自動車社長)
  • 荒木田裕子 (日本オリンピック委員会理事)
  • 山本 浩 (法政大学スポーツ健康学部長)
  • 小谷実可子 (ソウルオリンピック銅メダリスト(シンクロナイズドスイミング))
  • 中村芳夫 (司会:経団連副会長・事務総長)

PDF形式にて全文公開中

豊田章男 (経団連スポーツ推進委員長/トヨタ自動車社長)
経団連では、昨年末にスポーツ推進委員会を発足させた。今後は、JOCによるトップアスリートの就職支援「アスナビ」と連携し、スポーツ選手の生活基盤の安定を図るなど、経済界によるスポーツ支援に取り組んでいく。私自身、スポーツ経験者として、スポーツが持つ力の大きさを信じているし、当社の運動部選手たちからは笑顔をチャージしてもらっている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事・副会長としても、大会をぜひ成功させたい。

荒木田裕子 (日本オリンピック委員会理事)
日本のスポーツは、高度成長期に、企業スポーツに支えられて発展した。バブル崩壊後、いくつもの実業団チームが休部や廃部になったが、「アスナビ」の活動を通じて感じるのは、多くの企業がスポーツ支援を前向きに考えてくれていることである。2020年に向けては、取り組むべきことがたくさんある。「アスリートファースト」のオリンピックを目標に、世界のアスリートたちと協力して、最高のオリンピック・パラリンピックにしたい。

山本 浩 (法政大学スポーツ健康学部長)
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、日本にとって、「世界が私たちを知る」「私たちが世界を知る」「私たちが私たちを知る」という大きなチャンスだ。成功に向けて、日本のシステムのなかで合理的ではない部分を変えていかなければならない。例えば、アントラージュ(アスリートを支える人たち)へのサポートを充実させることが必要だ。また、スポーツの意義を伝えるボキャブラリーを増やし、戦略的にスポーツを社会に浸透させることも大切である。

小谷実可子 (ソウルオリンピック銅メダリスト(シンクロナイズドスイミング))
今回の招致活動では、「負けるはずがない」という勢いを感じていた。開催決定は、関係者だけでなく、応援してくれたすべての人の気持ちが一つになって勝ち取ったものである。東日本大震災を経験し、日本のアスリートたちは社会貢献の意識を持ち始めた。それは、積極的に招致活動に参加してくれたことにも表れている。これからは、企業の支援を期待するだけでなく、自ら能力を発揮できる環境をつくる努力をしてほしい。

中村芳夫 (司会:経団連副会長・事務総長)

  • ●2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催がもたらすもの
  • 元気になった日本の姿を世界に見せる絶好のチャンス
  • 国民の気持ちが一つになる最高のオリンピック・パラリンピック
  • 発表の前に勝利を確信していた
  • 世界が私たちを知る 私たちが世界を知る 私たちが私たちを知る
  • ●オリンピック・パラリンピックの開催成功に向けた今後の取り組み
  • 経済界も含め「オールジャパン」で取り組む
  • アスリート主体のオリンピック・パラリンピックを目指す
  • アスリートを支える人材へのサポートが必要
  • オリンピックに出られないアスリートたちの存在を忘れてはいけない
  • ●スポーツが持つ力の大きさ
  • つらい時に笑顔をチャージしてくれたスポーツ
  • 「被災地のためにがんばりたい」という若い選手たち
  • イルカと泳ぎわかった「たかがスポーツ、されどスポーツ」
  • スポーツをすればタイムマネジメントスキルを伸ばせる
  • アスリートは哲学者のように深い思想を持っている
  • ●政府・自治体による体制整備への期待
  • 「アントラージュ」に対する支援の強化が課題
  • スポーツの本当の素晴らしさを教えてくれた浅田選手と高梨選手
  • バイオデータで作戦が変わる
  • ●企業がスポーツ支援に果たす役割
  • 世界を目指すアスリートを支える中間層としての実業団スポーツ
  • アスリートの雇用に積極的な企業が増え始めた
  • アスリートたちは胸を張って自分を企業に売り込んでほしい
  • これからの企業によるスポーツへの貢献とは
  • スポーツの現場の声を聞き、現場の改善に貢献したい

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会
~スポーツの力・価値を全国へ、世界へ
 森 喜朗 (東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長)

  • スポーツの力や価値の再認識を
  • スポーツの価値向上に向けた国際的取り組み
  • 大会に向けた機運を高める努力を

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて
~被災地に勇気と感動を届けたい
 竹田恆和 (日本オリンピック委員会会長)

  • オールジャパンで勝ち取った東京開催
  • 健康スポーツ都市・東京へ
  • 最高のパフォーマンスを発揮できるための舞台づくり

ラグビーワールドカップ2019の日本開催に向けて
 御手洗冨士夫 (ラグビーワールドカップ2019組織委員会会長)

  • アジアで初めての開催
  • 日本中でスポーツを通じた国際交流

スポーツの推進と民間企業への期待
 張 富士夫 (日本体育協会会長)

  • 企業にとってのスポーツ推進の意義
  • スポーツ推進における企業への期待
  • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて

障がい者スポーツの現状と2020パラリンピックへの課題
 鳥原光憲 (日本障がい者スポーツ協会会長)

  • 変革の時にある日本の障がい者スポーツ
  • スポーツを通じた活力ある共生社会の創造
  • 企業の積極的な貢献が不可欠

2020年オリンピック・パラリンピック東京大会開催に向けた政府の動き
 平田竹男 (内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長/早稲田大学スポーツ科学研究科教授)

  • 大会成功に向けた東京都からの要望
  • 閣僚会議の開催

わが国におけるスポーツツーリズムの可能性
 原田宗彦 (早稲田大学スポーツ科学学術院教授/日本スポーツツーリズム推進機構会長)

  • 成長余力の高い観光産業
  • 周回遅れの観光産業
  • 新しい旅行商品
  • 隠れた観光資源
  • 旅行目的地としての日本への関心の高さとスポーツツーリズムの可能性

スポーツを活かしたまちづくり・地域づくりとは
 木田 悟 (日本スポーツコミッション理事長/日本大学理工学部建築学科講師)

  • わが国におけるスポーツとその位置付け
  • スポーツイベント開催による効果
  • スポーツを活かしたまちづくり、地域づくり組織としてのスポーツコミッション
  • 今後のスポーツと企業とのかかわり

ページ上部へ戻る

一般記事

【提言】
次代の日本を担う人材育成に向けた教育改革

~イノベーションをリードしグローバルに活躍する人材を育成するために
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/033.html
 川村 隆 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所取締役)

  • 学長のリーダーシップによる大学改革の推進
  • 高校教育の質保証
  • 理数系教育の推進と英語教育改革

【提言】
わが国企業の競争力強化に向けて

http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/027.html
 古賀信行 (経団連審議員会副議長・産業問題委員会共同委員長/野村證券会長)
 下村節宏 (経団連審議員会副議長・産業問題委員会共同委員長/三菱電機取締役相談役)

  • 企業の電力制約への対応
  • アジア市場での競争力強化に向けて

【提言】
女性活躍アクション・プラン

~企業競争力の向上と経済の持続的成長のために
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/029.html
 中川順子 (経団連企業行動委員会女性の活躍推進部会長/野村ホールディングス執行役員)

  • 女性活躍は成長戦略
  • 具体的なアクションに重点

「日本の国際競争力調査」を実施
~わが国企業の競争力とビジネス環境の実情を把握し、適切な政策を
 尾崎 哲 (経団連産業問題委員会競争力強化部会長/野村證券副社長)

  • 調査実施の背景
  • 調査結果から見るわが国の現状

循環型社会の形成に向けた産業界の取り組み
~環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕2013年度フォローアップ調査結果
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/034.html
 天坊昭彦 (経団連環境安全委員会共同委員長/出光興産相談役)

  • 目標水準大幅に上回る削減を達成
  • 取り組み推進には政府・国民との連携が不可欠

むつ小川原開発地区のさらなる発展に向けて
~開発地区の視察会を開催
 大宮英明 (経団連副会長・むつ小川原開発推進委員長/三菱重工業会長)

  • 三村青森県知事を表敬
  • 青森県およびむつ小川原開発地区に関する説明会
  • むつ小川原開発地区の視察

連載

  • 世界に羽ばたく人づくり (3)
    名古屋大学における(産学連携による)グローバル人材育成
    渡辺芳人(名古屋大学理事・副総長(国際担当))
    今井千晴(名古屋大学国際教育交流センター キャリア支援部門特任講師)
    • G30国際コース
    • 留学生受け入れ、海外留学、研究の国際化
    • グローバル人材育成への取り組み
    • 大学間ネットワーク
    • キャリア教育・就職支援
    • 日本を拠点に活躍するグローバル人材の育成へ
  • 輝く日本の女性たち (6)
    経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメントが日本を変える
    内永ゆか子(J-Win理事長)
    • ダイバーシティは重要な経営戦略
    • ダイバーシティ推進上の課題
    • Diversity is the game changer
  • 経営者のひととき
    私の散策
    井川正治(ジェイテクト副会長)
  • エッセイ「時の調べ」
    いまもっとも重要な問題 子どもの教育
    水谷 仁(科学雑誌「Newton」編集長/JAXA(宇宙航空研究開発機構)名誉教授)

「月刊 経団連」一覧はこちら