豊田章男 (経団連スポーツ推進委員長/トヨタ自動車社長)
経団連では、昨年末にスポーツ推進委員会を発足させた。今後は、JOCによるトップアスリートの就職支援「アスナビ」と連携し、スポーツ選手の生活基盤の安定を図るなど、経済界によるスポーツ支援に取り組んでいく。私自身、スポーツ経験者として、スポーツが持つ力の大きさを信じているし、当社の運動部選手たちからは笑顔をチャージしてもらっている。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事・副会長としても、大会をぜひ成功させたい。
荒木田裕子 (日本オリンピック委員会理事)
日本のスポーツは、高度成長期に、企業スポーツに支えられて発展した。バブル崩壊後、いくつもの実業団チームが休部や廃部になったが、「アスナビ」の活動を通じて感じるのは、多くの企業がスポーツ支援を前向きに考えてくれていることである。2020年に向けては、取り組むべきことがたくさんある。「アスリートファースト」のオリンピックを目標に、世界のアスリートたちと協力して、最高のオリンピック・パラリンピックにしたい。
山本 浩 (法政大学スポーツ健康学部長)
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、日本にとって、「世界が私たちを知る」「私たちが世界を知る」「私たちが私たちを知る」という大きなチャンスだ。成功に向けて、日本のシステムのなかで合理的ではない部分を変えていかなければならない。例えば、アントラージュ(アスリートを支える人たち)へのサポートを充実させることが必要だ。また、スポーツの意義を伝えるボキャブラリーを増やし、戦略的にスポーツを社会に浸透させることも大切である。
小谷実可子 (ソウルオリンピック銅メダリスト(シンクロナイズドスイミング))
今回の招致活動では、「負けるはずがない」という勢いを感じていた。開催決定は、関係者だけでなく、応援してくれたすべての人の気持ちが一つになって勝ち取ったものである。東日本大震災を経験し、日本のアスリートたちは社会貢献の意識を持ち始めた。それは、積極的に招致活動に参加してくれたことにも表れている。これからは、企業の支援を期待するだけでなく、自ら能力を発揮できる環境をつくる努力をしてほしい。
中村芳夫 (司会:経団連副会長・事務総長)
- ●2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催がもたらすもの
- 元気になった日本の姿を世界に見せる絶好のチャンス
- 国民の気持ちが一つになる最高のオリンピック・パラリンピック
- 発表の前に勝利を確信していた
- 世界が私たちを知る 私たちが世界を知る 私たちが私たちを知る
- ●オリンピック・パラリンピックの開催成功に向けた今後の取り組み
- 経済界も含め「オールジャパン」で取り組む
- アスリート主体のオリンピック・パラリンピックを目指す
- アスリートを支える人材へのサポートが必要
- オリンピックに出られないアスリートたちの存在を忘れてはいけない
- ●スポーツが持つ力の大きさ
- つらい時に笑顔をチャージしてくれたスポーツ
- 「被災地のためにがんばりたい」という若い選手たち
- イルカと泳ぎわかった「たかがスポーツ、されどスポーツ」
- スポーツをすればタイムマネジメントスキルを伸ばせる
- アスリートは哲学者のように深い思想を持っている
- ●政府・自治体による体制整備への期待
- 「アントラージュ」に対する支援の強化が課題
- スポーツの本当の素晴らしさを教えてくれた浅田選手と高梨選手
- バイオデータで作戦が変わる
- ●企業がスポーツ支援に果たす役割
- 世界を目指すアスリートを支える中間層としての実業団スポーツ
- アスリートの雇用に積極的な企業が増え始めた
- アスリートたちは胸を張って自分を企業に売り込んでほしい
- これからの企業によるスポーツへの貢献とは
- スポーツの現場の声を聞き、現場の改善に貢献したい