「出口」から引っ張る科学技術イノベーション
今月から、消費税率が17年ぶりに引き上げられたが、前回消費税率が引き上げられた1997年は、私にとって忘れることができない年だ。この年、地球温暖化防止京都会議COP3の開催にあわせて、私自身が開発責任者を務めた世界初の量産ハイブリッド車プリウスが、「21世紀に間に合いました」とのキャッチコピーのもと発売された。
今月から、消費税率が17年ぶりに引き上げられたが、前回消費税率が引き上げられた1997年は、私にとって忘れることができない年だ。この年、地球温暖化防止京都会議COP3の開催にあわせて、私自身が開発責任者を務めた世界初の量産ハイブリッド車プリウスが、「21世紀に間に合いました」とのキャッチコピーのもと発売された。
社会保障制度改革の工程を定めた「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」(以下、プログラム法)の施行、今年4月の消費税率引き上げにより、社会保障と税の一体改革が本格始動する。プログラム法は、3.8兆円程度の社会保障の充実と1.2兆円程度の重点化・効率化を一体的に進める改革の姿を描いているが、受益と負担の均衡がとれた制度改革の実現が強く求められている。そこで、焦点となる医療・介護制度を中心に、ICTの活用を含めた給付抑制策のあり方、自助努力の推進、医療機関としての貢献策など、多面的な観点から、今後の改革の行方を探る。
斎藤勝利 (経団連副会長・社会保障委員長/第一生命保険会長)
企業は、経済成長を牽引する主体であると同時に、新たな雇用機会を創出し、税や社会保険料負担の担い手として、社会保障制度をはじめとする国民生活の基盤を支えている。成長と両立する社会保障制度を構築するためにも、給付の重点化・効率化と、社会保険料と税の役割の一体的見直しが欠かせない。これらは、政治の強いリーダーシップのもとで着実に推進することが求められる。経団連としても、引き続き、政府・与党など関係方面への働きかけを強化していく。
亀田信介 (医療法人鉄蕉会亀田総合病院院長)
社会保障制度改革への取り組みについては、控除対象外消費税の問題、消費税増収分を活用した新たな基金の設置、今回の診療報酬改定など、現場の医療機関としては納得できない点がいくつかある。亀田グループでは、民間主導の地域包括ケアの構築に向けて、情報基盤の整備などを進めている。この前提となるのは国民共通ID(マイナンバー)であり、医療の効率性・透明性・質の向上のためにも、政府には、ICTの活用を推進してもらいたい。
川渕孝一 (東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授/21世紀政策研究所研究主幹)
医療・介護は、ファイナンシング(財源)、ペイメント(支払)、デリバリー(提供体制)という三つの観点から議論しなければならないが、残念ながら社会保障制度改革国民会議では、いずれについても十分な議論がなされなかった。ヘルスケア分野は利害関係者が多く、改革を進めるのは容易ではない。しかし、日本の社会保障制度のサスティナビリティーを維持するには、もはや待ったなしの状況にある。利害関係者が譲歩できるような、実現可能な工程表を早急につくらなければならない。
宮島香澄 (日本テレビ放送網報道局解説委員)
地域ごとに異なる状況に対応しようとしている点、国民健康保険(国保)の保険者機能を強めようとしている点で、今回の社会保障制度改革は評価できる。医療と介護を一体化する方向性も良い。しかし、重点化・効率化に関しては、十分に議論がなされていない。また、医療資源の効率的な活用のためには、国民の意識改革も必要である。困難は承知しつつも、抜本的な改革は必要だと思う。その青写真の共有につながるよう先進的な取り組みを紹介するなど、丁寧な報道を心がけたい。
久保田政一 (司会:経団連専務理事)
社会保障制度改革の推進に向けた厚生労働省の取り組み
田村憲久 (厚生労働大臣)
社会保険料の負担構造を見直して経済活力を引き出せ
鈴木茂晴 (経団連社会保障委員会共同委員長/大和証券グループ本社会長)
データ駆動型医療・ヘルスケア
森川博之 (東京大学先端科学技術研究センター教授/21世紀政策研究所研究主幹)
早急に医療分野へのマイナンバー導入を
~持続可能な医療制度構築のために
榎並利博 (富士通総研経済研究所主席研究員)
医療・福祉において住民が必要としているもの
藤本晴枝 (地域医療を育てる会理事長)
従業員の健康づくりや予防活動の促進に向けた取り組み
~診療所医療職が社員と事業所の「元気」をサポート
大久保伸一 (トッパングループ健康保険組合理事長)
石川厚夫 (トッパングループ健康保険組合専務理事)
【提言】
「先進国の有志連合」としてグローバル・ガバナンスのコアとなれ
~グローバル化時代のOECDのあり方に関する提言
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/015.html
斎藤勝利 (経団連副会長・OECD諮問委員長/第一生命保険会長)
【提言】
理工系人材育成戦略の策定に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/013.html
内山田竹志 (経団連副会長・産業技術委員長/トヨタ自動車会長)
小野寺 正 (経団連産業技術委員会共同委員長/KDDI会長)
【提言】
職務発明の法人帰属化に向けた声明
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/012.html
日覺昭廣 (経団連審議員会副議長・知的財産委員長/東レ社長)
金子眞吾 (経団連知的財産委員会共同委員長/凸版印刷社長)
【提言】
企業間のBCP/BCM連携の強化に向けて
http://www.keidanren.or.jp/policy/2014/010.html
橋本孝之 (経団連防災に関する委員会共同委員長/日本アイ・ビー・エム会長)
柄澤康喜 (経団連防災に関する委員会共同委員長/三井住友海上火災保険社長)