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月刊 経団連  座談会・対談 パッケージ化戦略でインフラ海外展開を推進する

荒木光弥
司会:国際開発ジャーナル社代表取締役・主幹

木村福成
東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)チーフ・エコノミスト/慶應義塾大学教授

水沼正剛
電源開発(J-POWER)取締役常務執行役員

前田匡史
内閣官房参与/国際協力銀行(JBIC)執行役員・インフラファイナンス部門長

川村 隆
経団連副会長、アジア・大洋州地域委員長
日立製作所会長

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川村 隆 (経団連副会長、アジア・大洋州地域委員長/日立製作所会長)
アジアに展開する日本企業のサプライチェーンをより強固にするためにも、ロジスティクスなどのインフラ整備が急務である。従来のように日本で製品をつくって輸出するだけではなく、地産地消の視点で地場産業を支援しながら、相手国の成長基盤の強化や需要創出を考えなければならない。また、ファイナンス面ではJBIC、事前調査ではJICAといった政府機関の支援を得ながら、成功モデルをつくっていきたい。

前田匡史 (内閣官房参与/国際協力銀行(JBIC)執行役員・インフラファイナンス部門長)
アジアをはじめとする新興国の成長スピードにインフラの整備が追いついていないという現状がある。これからは、相手国の要請を待って事業に参加するのではなく、案件形成段階から協力するかたちにしていかなければならない。そこで、ハード単体ではなく、優れたシステム、運用、メンテナンス、ファイナンスなどを組み合わせた、パッケージ型インフラ輸出が、日本が推進すべきビジネスモデルとなる。

水沼正剛 (電源開発(J-POWER)取締役常務執行役員)
戦後日本の復興と経済成長には、電力インフラの開発と電力の安定供給が不可欠であった。アジア各国は、資源制約と環境問題に対応しつつ電力量を増やしていかなければならず、技術面・政策面で日本の経験が活かされる。電力インフラにおいて、日本企業は、建設費用など短期価格で劣後しても、環境・効率や保守・効率の点で高い技術を持っているため、長期的には安価な電力を提供できる強みがある。ただし、人材の国際化への取り組みでは、韓国等に後れを取っている。

木村福成 (東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)チーフ・エコノミスト/慶應義塾大学教授)
アジア太平洋地域の発展途上国30カ国において、2020年までに年平均約7500億ドルのインフラ需要があるといわれている。日本企業には、伸びしろの少ない国内需要に閉じこもるのではなく、外に出て競争するという姿勢が求められる。海外進出による国内産業の空洞化が懸念されているが、アジアで子会社を増やしている企業は、日本国内の雇用も創出できる。国内外で生産工程・タスク単位での分業を確立することが重要である。

荒木光弥 (司会:国際開発ジャーナル社代表取締役・主幹)

  • ●新興国の成長力とインフラ需要の見通し
  • アジア太平洋地域のインフラ需要は毎年7500億ドル
  • サプライチェーンの観点からもアジアの整備は急務
  • パッケージ型インフラの海外展開を推進せよ
  • 日本の電力開発における成功体験を活かせ
  • ●日本の成長戦略におけるインフラ輸出の意義
  • 官民政策対話で実務的な課題の解決を図る
  • 地熱・太陽光など、日本メーカーの強みを活かせ
  • 海外進出によって国内の雇用も増える
  • アジア各国は日本国内の動向を注視している
  • ●フロンティアと考えられる分野と地域
  • 先進国の老朽インフラの更新を狙う
  • 圧倒的なインドの電力需要
  • 宇宙・防災などの分野には国の関与が必要
  • ミャンマーは有望、まさにフロンティア
  • ●インフラ輸出におけるわが国の競争力、その強みと弱み
  • 日本の強みは「信頼性」と「地産地消」
  • 資源購買力を活かして、資源とインフラ輸出のパッケージを
  • ●競争力強化のための課題と提言
  • 需要を発掘・創出する攻めの姿勢で
  • M&Aの活用で弱点を補う

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