TPPによる急送便の迅速化のメリット:日本の食を世界へ
TPPでは、関税撤廃、GI(地理的表示)、通関の迅速化が規定されている。急送便は書類提出後6時間以内に引き取り可能とする義務がある。
日本食ブームを背景に、海外の消費者の要望はより具体的になり、特定の生産者の作ったものを宅急便で取り寄せたいと言われる。ロジスティクスを通じ、日本の農水産品の最大の売りである旬の食を届けたいと考え、安倍政権が目指す農林水産品・食品の輸出額拡大に向けて、これまで大口中心であった生産者からの輸送を転換し、零細農業生産者・事業者から多品種・小ロット・個単位の輸送を可能とする選択肢を拡大した。
生産者と海外消費者をつなぐ「PtoC」
当社では2010年から、地方のスモールビジネスオーナー、中小規模の農業専従者のためのインフラとして、香港・上海・マレーシア・シンガポール・台湾で宅急便事業を開始している。ANAカーゴの沖縄ハブ&スポークのネットワークにより通関のスピード化を実現し、これらの国への翌日配送を実現した。また、2013年秋には世界初の小口の海外クール宅急便を開始した。
これが生産者「Producer」から消費者「Consumer」を直接つなぐ「PtoC」である。当社の「PtoC輸出支援プラットフォーム」は、首都圏だけでなく地方での通関支援、販売先サポート、販売先からの代金回収のための越境決済などを含め、生産者を支援する。零細事業者にとって難しい輸出業務を包括的に請負うことで、海外の消費者に対する高付加価値産品の直販を実現している。
輸出拡大への鍵:小口輸送(PtoC)の拡大支援
当社のPtoCの経験をもとに情報・知識をシェアし、国・自治体が小口輸送を支援すべくオールジャパンで取組めば、生産者にとって更なる恩恵となるだろう。
輸出拡大に向けて小口輸送を大口につなげる鍵は、海外消費者の拡大である。当社は青森県と国際輸出契約を結び、ヒラメやウニを香港の大手回転すしチェーン等の店舗・小規模事業者に提供している。輸送規模の拡大を図るには、今後はそうした事業者の声にも耳を傾ける必要があろう。