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Policy(提言・報告書)  経済連携、貿易投資 公正で持続可能な発展とディーセント・ワークの実現に向けて -経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 パネルディスカッション第1部

川島 千裕 日本労働組合総連合会(連合) 総合政策局総合局長

アジア太平洋地域における公正・持続可能な発展とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現という観点から、TPPに対する連合の活動と今後の期待について説明する。

経済連携の推進と貧困・格差、環境・労働問題の是正を

2010年、当時の民主党政権によるTPP交渉参加の検討を受け、連合としての考え方をまとめた。わが国は米国・中国・韓国・EUとのFTA・EPAが未締結であり、包括的経済連携を推進することが求められていた。また、グローバル化の負の側面である貧困・格差の拡大、環境問題の克服に向けて、ILO中核的労働基準の遵守条項と環境条項をこれらの協定に組み込むべきと考えた。そのような観点からTPP交渉に早期に参画し、質の高い経済連携のルール作りにリーダーシップを発揮すべきと主張した。

2011年、日本が交渉参加に向けて関係国との協議に入ると発表した際は、参加の是非をめぐり国論を二分する現状と、組織内からの声も背景に、TPP参加に係る懸念事項(人の移動、食料・農林水産分野、食の安全・安心、医療・国民皆保険、金融、投資・ISDS、政府調達)の解消に向けた対策と、国民への情報開示や国民的な合意形成に向けた丁寧な説明を行うことを政府に求めた。

2013年3月、安倍政権による交渉への参加決定に際しては、先述の懸念を払拭するための万全の交渉と国内対策がなされることを政府に要請するとともに、国際労働組合総連合(ITUC)とも連携していくこととした。

国民への説明責任を果たすべき

大筋合意及び署名に対しては、ILO中核的労働基準の遵守が協定に盛り込まれたことを評価している。他方、懸念の払拭と国民理解の促進に向けて、政府は国民への一層の説明責任を果たすべきである。昨年12月に公表された政府の経済効果分析については、第三者機関による妥当性の精査が必要である。

アジア太平洋地域におけるディーセント・ワークの実現に向けて

そのうえで、アジア太平洋地域における公正・持続可能な発展とディーセント・ワークの実現に向けては、国・事業者の努力が必要である。中核的労働基準の遵守条項、環境条項を実際に効果のあるものにしていく主体は各国の政府である。また、企業には、貿易とサプライチェーン全体を通じたディーセント・ワークの確保に向けて、OECD多国籍企業行動指針、経団連の企業行動憲章などに基づく多国籍企業の社会的責任への理解の促進と実践を求めたい。こうした官民の取組みはアジア太平洋地域における質の高い雇用の創出、ひいては市場拡大につながると期待しており、RCEP、FTAAPにも受け継がれることを望む。

以上

経団連シンポジウム 「TPPを活かす」 開催概要

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