経団連の十倉雅和会長は3月9日、東京・大手町の経団連会館で渡辺博道復興大臣、小島敏文復興副大臣と懇談した。復興庁からは、石田優事務次官はじめ幹部も出席し、東日本大震災の被災地の現状や課題、今後の復興支援の方向性について意見交換した。
十倉会長は、東日本大震災の被災地域外に、根強い風評がいまだに残っていると言及。経団連が東北復興応援フェスタの開催や政府の「魅力発見!三陸・常磐ものネットワーク」への参加を通じて、東北地方の産品の消費拡大や観光振興等の取り組みを強化していることを紹介した。また、刻々と変わる被災地の現状と課題を把握し、効果的な復興支援のあり方を検討していくため、被災地への視察を継続していくとの考えを示し、「復興の完成に向けた取り組みを加速するため、官民連携のさらなる推進が重要」と述べた。
渡辺大臣は、「復興は着実に進んでいる一方で、地域によって復興状況はさまざまであり、いまだ困難に直面している方々もいる」との認識のもと、「一日も早い復興に向けて、自身が先頭に立ち、被災者の方々に寄り添いながら、期待される役割を果たしていく」との考えを示した。そのうえで、経団連に対して、(1)被災地への企業立地の促進に向けた会員企業への呼びかけ(2)風評の払拭に向けた福島県産農水産物の安全性の周知、社員食堂等での利用・販売、研修や社員旅行での同県への視察・観光の促進(3)福島国際研究教育機構との連携――を要請した。
懇談では、小島副大臣から、復興庁の業務や被災地の地域復興マッチング事業である「結の場」への経団連会員企業の貢献に対し謝意が示された。また、ALPS処理水(注)の処分について、国民に科学的な「安全」への理解に加えて、「安心」を得てもらうためには、粘り強く丁寧に説明することが必要との認識で一致した。
(注)トリチウム以外の放射性物質が、安全に関する規制基準値を確実に下回るまで多核種除去設備等で浄化処理した水
【ソーシャル・コミュニケーション本部】