経団連は5月22日、韓国・ソウルで全国経済人連合会(全経連)、日韓経済協会、韓日経済協会との共催で日韓第三国市場共同進出セミナーを開催した。経団連から伊藤雅俊審議員会副議長(アジア・大洋州地域委員長)はじめ57名、全経連側からは許昌秀会長はじめ95名が参加した。
■ 第三国市場における日韓協力拡大への期待
冒頭、許昌秀全経連会長は、日韓企業が協力し、今後も拡大する世界のインフラ需要に対応することが重要であると指摘するとともに、これまでの資源・エネルギー開発、インフラ整備、製造業に加えて、サービス業、医療・介護など幅広い分野へ協力を拡大することが望ましいと述べた。
伊藤副議長は、第三国市場における日韓協力は、両国企業がともに手を取り合い、持てる人材、技術、資源などを相互に補完し、効果的に活用していくことで、ウィンウィンの関係を構築できるものであるとし、さらなる協力関係の拡大が求められると述べた。
来賓として参加した長嶺安政在韓国日本国特命全権大使は、日韓両国はグローバル市場において競争関係にある一方で、世界のインフラ需要の拡大を踏まえれば、第三国市場への共同進出を通じた日韓経済協力は非常に重要であり、これは日韓両国のみならず、世界経済の発展にも貢献し得ると期待を寄せた。
■ 日韓企業の協力事例について情報共有
続いて、日韓双方の企業(三菱商事、みずほ銀行、三井化学、GS建設、SLK国宝)から、これまでの日韓両国企業による第三国での具体的な協力事例について説明を受け、連携のきっかけ、内容、成功の要因等について情報を共有した。
各発言者からはこれまでの経験を踏まえ、双方の経験・ノウハウを持ち合うことで大きなシナジー効果を発揮できるとの共通認識が示された。なかでも製造業における協業は互いの強みを活かした新たな技術、製品開発につながるほか、双方が強みとする第三国市場への部材供給や製品販売が可能となり、新たなビジネスチャンスの拡大につながるとの紹介があった。
■ 共同進出を支援する公的制度の理解を深める
続くセッションでは、第三国市場への共同展開を支援する日韓両国の公的制度等について、日韓の公的機関(JETRO、日本貿易保険、韓国輸出入銀行、韓国貿易保険公社、韓国企画財政部)から説明を聞いた。特に、莫大な資金や大きなリスクを伴う資源・エネルギー開発やインフラ整備に関しては、資金融資、貿易保険、情報提供など日韓双方の公的支援制度の果たす役割が一層拡大しており、両国の公的機関からは今後も第三国市場における日韓企業による協力プロジェクトを支援するとの意向が示された。
【国際協力本部】