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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2017年3月23日 No.3309 2017年の経済財政運営上の重要課題について説明を聞く -経済財政委員会

経団連の経済財政委員会(柄澤康喜委員長、永井浩二委員長)は7日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、内閣府の田和宏政策統括官(経済社会システム担当)から、2017年の経済財政運営上の重要課題について説明を聞いた。説明の概要は次のとおり。

■ 2017年の世界情勢

欧州では、Brexit後のEU像を占う各種選挙が予定される。また、4月と10月ごろに、米国財務省は為替報告書を公表予定で、その内容に注目が集まっている。

トランプ政権は、国内の投資拡大と賃金増、そして二国間の貿易赤字の均衡を目指し、内需・外需を個別に拡大するアプローチを取っており、各種政策の整合性が注目される。また、直近のFOMCメンバー見通しでは、今年、来年にそれぞれ3回の利上げが見込まれており、中長期的に日米金利差の動向が為替に与える影響には注視が必要である。

中国経済は、成長率目標の引き下げと国内の供給過剰に直面している。他方、「一帯一路構想」のもと、AIIB(アジアインフラ投資銀行)を活用し、インフラをはじめとした海外投資の拡大を通じて、アジアや欧州との経済関係を強化している。

■ 日本経済の当面の課題

まず、消費の活性化が求められる。所得環境の変化をみると、アベノミクス以降、可処分所得の増加が続いている。ただ、30歳代後半から40歳代の正社員の賃金は、ほかの世代と比べて伸び悩んでいる。また、39歳以下の世帯主、あるいは高所得の家計の消費性向は、ここ20年で最低の水準に落ち込んでいる。

消費喚起に向けて、プレミアムフライデーの継続とあわせて潜在需要を顕在化させるよう製品やサービスを供給することが必要だ。例えば、国内旅行は裾野が広く、有望と考えている。

次に、人手不足の克服が必要である。失業率は低下しているが、ミスマッチは縮小していない。建設やITといった業種で人手不足が慢性化している。

当面の解決策として、理工系学部出身の女性などに対する学び直しの機会の拡充や、省力化・IT投資を後押しする環境整備を図るべきである。

■ 中長期の経済財政に関する試算

今年1月の試算(経済再生ケース)では、国・地方を合わせたプライマリーバランス(PB)の2020年度の赤字額は約8.3兆円と昨年7月から拡大した。また、安定的な引き下げを目指している国・地方の公債等残高対GDP比については財政健全化の進捗に加え、低金利の効果もあり、17年度以降低下が見込まれる。

政府は、16年度から18年度を財政健全化目標達成に向けた集中改革期間としている。

社会保障関係費の抑制に向けて、予防、健康の保持・増進の観点から国民の意識改革に向けた取り組みを加速する。

これらに加え、18年度の予算編成に際して、潜在成長率の引き上げに向け、教育、研究開発等の分野が議論になると認識している。

■ 2030年に向けた展望

昨年末に公表した「2030年展望と改革タスクフォース報告」では、人的資本の充実をはじめストックの流動化、再活性化に向けた構造改革が必要であることを指摘した。具体的には、教育人材投資の拡充、超スマート社会構築に向けたデータプラットフォームの構築、そして都市のコンパクト化や行政サービスの集約化を可能とする土地利用制度の見直し等が必要であるとしている。

【経済政策本部】

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