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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2015年1月8日 No.3207 マイナンバー導入における企業の実務対応<5> -法人番号と金融業界の特別な対応

富士通総研経済研究所主席研究員
榎並利博

マイナンバー制度では、マイナンバーを利用するとともに、法人に付番する法人番号を利用することがもう一つの柱となっている。マイナンバーと異なり利用制限がないため、今後行政機関へ提出する書類だけでなく、民間における取引などあらゆる分野で利用されていくだろう。

法人番号については、国税庁長官が番号を指定して通知することになっており、法務省が有する会社法人等番号を基礎として付番することになっている。対象となる法人は国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人、その他社団などとなっており、従業員を雇用したり納税したりしている団体はすべて対象となる。

法人基本3情報(商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人番号)についてはインターネットで公開され、具体的には国税庁のホームページへの掲載、データの一括ダウンロード、Web-APIの公開が予定されている。民間企業としては、公的書類における自らの法人番号記載や法定調書における法人番号記載について準備する必要がある。また、法人ポータルの構築も検討されており、法人番号や法人ポータルのビジネス利用についても検討しておく価値があるだろう。

民間企業のなかでも、金融業界では2点ばかり特別な対応が求められる。一つは、法定調書関係で3年の経過措置が設けられる場合があることだ。金融機関は金銭取引を主な業務としているため、通常の企業に比べ法定調書の枚数が膨大であり、しかも契約者からマイナンバーを入手するのに時間がかかる。そのため特定口座など契約済みの金銭の支払いに関する調書については、3年間の経過措置が設けられている。施行後3年経過する以前に契約が終了するものはそのままでもよいが、それ以降も継続するものについては契約者から計画的にマイナンバーを入手する準備が必要だ。

次に金融業界としては、激甚災害が発生した時の対応も求められる。マイナンバー法では「あらかじめ締結した契約に基づく金銭の支払を行うために必要な限度で個人番号を利用することができる」と規定されており、通帳やカードなどを持ち出す余裕もなく避難してきた国民に対し、本人のマイナンバーを確認することで金銭の支払いをしなければならない。この場合は法定調書などのために収集したマイナンバーを目的外利用することも認められており、運用の詳細は内閣府令で定められることになっている。

源泉徴収票・給与支払報告書の電子的提出先の一カ所化
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次回は「企業年金と健康保険組合」について解説する。

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