1997年12月 4日発行
PDFファイル版はこちら
■景気対策と金融システム安定化対策は喫緊の課題
ここにきて景気対策と金融システム安定化対策が重要課題として浮上してきた。景気対策については、財政再建との絡みから税や規制緩和を活用する、財政出動を伴わない対策を2次にわたり発表した。なかでも特徴的なのが、PFI(Private Finance Initiative)と呼ばれるいわば民間に公共事業を任せようという手法だ。ただ、これは今一つ具体性に欠けるところがある。
当初は、財政出動を伴わない対策が大勢の意見だったが、最近、財政出動に対する要求が日増しに高まっている。特に、金融システム安定のための公的資金の導入には、補正予算を避けて通れないから、それに便乗して、いろいろな要求が乗っかってくる可能性は否定できない。
金融システムの安定化のためには、公的資金の投入が必要だが、そのためには、投入のスキームとかルール、その前提となるディスクロージャーというものをきちんと位置づけて、まず何よりも国民の理解を得ることが重要である。そして、これは短期間のうちに結論を出して、世間に蔓延している不安感を払拭することが喫緊の課題だ。
■法人税は思い切った引き下げを
暗い材料ばかりだが、明るい材料の1つとしては、法人税の思い切った引き下げに本格的に取り組んでいくことだ。現在、大蔵省と通産省が考えている引き下げ幅には、かなりの開きがある。通産当局は、今年は国税で5%、来年は地方税で5%、両方あわせて10%引き下げるということを目標にしている。大蔵省はとてもこんな数字はのめないと言っているので、しばらくは党税調と大蔵省との間で攻防が続くことになるだろう。
今回、引当金の大幅な見直しが争点になるが、引当金については、経済界共通で見直してもいいという部分と業界によってはこれは困るという部分があるので、それらの意思統一を図ってもらいたい。
また、大蔵省との折衝の中で、現状のスキームでは来年の国税の引き下げは最大でも4%しか下げられないのではないかと感じている。その場合の最後の1ポイントを下げる方法として、退職給与引当金の非課税枠を40%から20%まで切り込んだらどうかという案が出ている(現在は、40%を30%にするということで計算している)。そうすると、5%引き下げることができる。
引き下げは2段階でということだから、次は地方税ということになる。こちらに関しては、経団連と自治省・通産省との考え方に、まだかなり乖離があるようだ。法人事業税における外形標準課税については、経団連をはじめ経済団体は反対だと聞いている。しかし、実効税率を下げる方法として他に何があるかということ、いかなる企業も事業展開の上で地方自治体のサービスを受けていること、地方自治体の税収の大きな割合を占める法人事業税収入が景気の状況で乱高下するため地方自治体の予算が安定していないこと、これらの理由から、党税調としては、外形標準課税について、かなり真剣に議論することになるであろう。ただし、外形標準は人件費課税だから、雇用に影響があるのではないか、また、中小企業が相当痛手を受けるのではないかという2点が問題点として指摘されている。そのため、半分を外形標準課税、半分を従来通りの課税にしたらどうかという案や、中小企業対策で足切りを設けたらどうかという案が出ている。
■中心市街地再活性化対策
今年の2月に私と北海道出身の武部勤議員で、中心市街地の再活性化を提案した。これは、またたくまに政府が採用することとなり、予算も公共事業とは別枠ということになった。
私は、長い間、商工政策をやってきたが、今まで何をやっても商業政策だけはうまくいかず、街中の商店街の衰退に歯止めがかけられなかった。そこで、街中とは何で、これからどういう役目を果たしていくのか、と考えたところ、街は商業とオフィスと居住のコンビネーションであると思い、商業政策ではなく、総合政策として取り組んでみようと考えた。
これについては、12月20日頃までに、中心市街地再活性化大綱として取りまとめ、法案化したいと思っている。
【質疑応答】