経団連では、1991年に「経団連地球環境憲章」を発表し、「環境問題への取り組みが企業の存在と活動に必須の要件である」ことを明確にし、環境保全にむけて自主的かつ積極的に取り組みを進めていくことを宣言した。1996年には「経団連環境アピール」をまとめ、地球温暖化対策の推進や循環型経済社会の推進、環境管理システムの構築と環境監査の実施、海外事業展開にあたっての環境配慮に関し具体的な方針を宣言した。このような流れを受けて、1997年には、「経団連環境自主行動計画」を発表し、わが国産業界の全産業レベルにおいて環境対策を着実に実施していくための継続的な仕組みを創設した。
温暖化のような長期的かつ地球規模で生じる環境問題は、その原因があらゆる事業活動や我々の日常生活の隅々にまで関係していることから、一律に活動等を制限することができず、従来の規制という手法では十分な対処が難しいという性格を持つ。70年代の公害対策等で効果をあげてきた従来型の規制的措置に代って、地球規模での問題について対策効果が期待されるのが自主的取組みである。自主的取組みは、自らの業をもっとも良く知る事業者が、技術動向や他の経営判断などを総合的に勘案して、費用対効果の高い対策を自ら立案しこれを実施することができる点で有効である。
経団連環境自主行動計画は、42業種・143団体(97年のスタート時は37業種、138団体)という全産業レベルで温暖化問題、廃棄物問題等の重要課題に取組むものである。このように幅広い参加を得た取り組みはわが国におけるCO2排出削減や廃棄物の削減・リサイクルの推進等に大いに寄与するものと考える。
こうした自主的取組みの推進にあたっては、明確な目標を掲げ、その目標達成に向け毎年フォローアップを行い、その進捗状況を公表することを通じて「社会的公約としてのインセンティブ」が働くスキームを有することが期待される。
こうした観点から、産業界では毎年自主行動計画の進捗状況をフォローアップし広く公表している。一方政府にあっては、98年6月に策定した「地球温暖化対策推進大綱」において経団連環境自主行動計画のフォローアップを対策の主要な柱の一つとして位置付け、関係する審議会の場で、業界毎の行動計画の進捗状況を第3者的な立場からレビューし、その結果を公表している。
廃棄物対策についても、経団連では、1990年より主要業界の廃棄物対策の状況を毎年調査し、公表してきたが、さらにその活動を強化するべく、97年に経団連環境自主行動計画を策定するにあたって廃棄物対策もこれに統合することとなった。今回のフォローアップに際し、廃棄物分野においても、産業界全体の数値目標(産業廃棄物の最終処分量の削減目標)を掲げることとし、現在、とりまとめを進めている。
産業廃棄物削減目標の設定について
― 経団連環境自主行動計画フォローアップ結果 ―(1999年12月 6日)