[経団連] [意見書]
新内閣に望む
1999年10月4日
(社)経済団体連合会
昨年発足した小渕内閣は、総理の強いリーダーシップのもと思い切った財政・金融政策や産業の競争力強化策等によって、わが国経済再生の道を開いた。今般の改造内閣は、まさに景気の本格回復と経済再生の正念場に立たされており、従来にも増して強いリーダーシップを発揮して、国民の期待にこたえることが求められている。そのためには、当面、為替の安定化や切れ目のない財政出動により景気回復を確実なものとするとともに、国民の将来不安を払拭するため、税制・法制、社会保障制度、金融、雇用・労働等の構造改革に引き続き取り組んでいく必要がある。わが国経済の本格回復は、危機から急速に立ち直りつつあるアジア諸国をはじめ世界経済の発展にとって不可欠である。経済界としても、新内閣を全面的に支援し、日本経済の再生に努力する。
以上の考え方に立って、下記の重要施策を実行するよう求める。
記
- 景気の本格回復への努力
- 第2次補正予算の編成と切れ目のない財政出動
- 為替の安定化への努力(諸外国との協調強化、財政・金融政策の適切なリンケージ)
- 公共事業の重点配分(都市・交通・物流基盤の整備等)
- ミレニアム・プロジェクトの前倒し実施(情報化対応、高齢化対応、環境対応)
- 包括的なベンチャー・中小企業支援策(事業承継税制、エンジェル税制等)
- 雇用・労働面での構造対策
- 税制・法制の抜本改革の推進
- 法人税制の国際的なイコール・フッティング(連結納税の2001年度における確実な導入、欠損金の繰越し・繰り戻し等)
- 企業組織再編にかかる税制・法制の整備(譲渡益非課税、登録免許税の減免、産業再生法の円滑な施行、会社分割法制、LLC・LLPの導入等)
- 地方税改革(土地に対する固定資産税の実効税率の引下げ等)
- 年金税制(拠出・積立時非課税給付時課税の徹底、特別法人税の撤廃)
- 社会保障制度の再構築
- 持続可能な公的年金制度への改革(基礎年金の間接税化、厚生年金報酬比例部分の見直し等)
- 企業年金制度の見直し(確定拠出型年金の導入、代行返上等)
- 医療制度改革(老人保健制度の見直し、介護制度との整合性の確保、制度の効率化等)
- 金融システムおよび資本市場の強化
- ペイオフ凍結解除に備えた国民負担最小化のための新しいセーフティネットの整備
- 金融サービス法の早期制定
- 証券決済システムの整備、CPペーパーレス化など資本市場インフラの整備
- 戦略的産業技術政策の推進
- ミレニアム・プロジェクトの具体的推進(省庁横断的検討、複数年度予算化)
- 産学官の協力体制による産業技術戦略の早期構築(検討の場の設置、科学技術基本計画への反映)
- 人材育成と教育改革(基礎学力の強化、外部認定制度の支援、教育分野の規制緩和と競争原理の導入)
- 知的財産政策の積極的展開(制度の国際的調和の実現、国外における知的財産権の保護強化、訴訟制度の改革)
- 国際標準化活動の積極的推進
- 規制改革の断行と小さな政府の実現
- 規制緩和推進3か年計画の前倒しと項目の拡充
- 着実な中央省庁再編の実現、特殊法人の整理合理化と地方制度改革の推進
- 国際間のルール作りへの積極的な取り組みと途上国支援のあり方の見直し
- 次期WTO交渉における産業界意見の反映(WTO交渉連絡協議会等の活用)
- 政府開発援助(ODA)の見直し(国際的に認められる範囲内での円借款のタイド化の推進)
- 国際会計基準への適切な対応
- 環境・エネルギー対策の推進
- 資源循環型社会の推進(廃棄物処理施設整備に対する公的関与の拡大)
- 温暖化対策における産業界の自主的取り組みへの支援
- 安全性の確保に努めつつ原子力の強力な推進
以 上
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