[経団連] [意見書]

「1997年度 社会貢献活動実績調査結果」要約

1998年12月4日
経団連・社会本部

本年7月、経団連会員企業ならびに1%クラブ法人会員の合計1,046社を対象にアンケート票を郵送し、97年度の社会貢献活動支出、その経常利益額に対する比率、寄付金損金算入限度枠の利用率、社会貢献活動を推進するための社内体制や従業員の社会貢献活動支援制度の導入等について回答いただいた。

回答総数は396社(回答率;37.9%)。

  1. 社会貢献活動に関する支出
  2. 本調査では、各社の「社会貢献活動支出額」と、それを構成する「寄付金額」ならびに「自主プログラム(各社が自ら実施する社会貢献プログラム)に関する支出額」について質問している。支出の集計結果は以下のとおりである。

    1. 社会貢献活動支出額
    2. 社会貢献活動支出について回答した376社の97年度の社会貢献活動支出総額は1,557億円であった。1社平均では4億1,400万円と96年度の4億円に比べ3.5%増加した。
      しかし、2年連続で回答した299社の支出額の増減を見ると、支出額を増やした企業が132社であったのに対し、支出額を減少させた企業は153社にのぼっている。

      91年度
      (350社)
      92年度
      (381社)
      93年度
      (398社)
      94年度
      (404社)
      95年度
      (367社)
      96年度
      (405社)
      97年度
      (376社)
      合計額1,838億円1,670億円1,494億円1,542億円1,454億円1,620億円1,557億円
      1社平均5億2500万円4億3800万円4億 500万円3億8200万円3億9600万円4億円4億1400万円
      対 前 年19.9%増16.6%減7.5%減5.7%減3.8%増1.0%増3.5%増

    3. 寄付金額
    4. 社会貢献活動支出額のうち、寄付金額1社平均は、2億7,500万円(373社)と96年度に比べ3.9%増加した。

      91年度
      (346社)
      92年度
      (380社)
      93年度
      (366社)
      94年度
      (402社)
      95年度
      (360社)
      96年度
      (396社)
      97年度
      (373社)
      合計額1,307億円1,207億円1,074億円1,128億円1,071億円1,049億円1,027億円
      1社平均3億7800万円3億1800万円2億9300万円2億8100万円2億9700万円2億6500万円2億7500万円
      対 前 年15.9%減7.9%減4.1%減6.0%増10.8%減3.9%増

    5. 自主プログラムに関する支出額
    6. 社会貢献活動支出額のうち、自主プログラムに関する支出額1社平均は、1億4,400万円(367社)と96年度に比べ2.1%減少したが、依然として高い水準を維持している。

      91年度
      (224社)
      92年度
      (329社)
      93年度
      (365社)
      94年度
      (361社)
      95年度
      (361社)
      96年度
      (387社)
      97年度
      (367社)
      合計額531億円463億円420億円413億円383億円571億円530億円
      1社平均2億3700万円1億4100万円1億1500万円1億1500万円1億 600万円1億4700万円1億4400万円
      対 前 年40.5%減18.4%減0.0%7.8%減38.7%増2.1%減

  3. 社会貢献活動支出額が経常利益額等に占める比率(単純平均)
  4. 97年度回答企業の社会貢献活動支出額が経常利益に占める比率(単純平均)は、経常利益が減少する中で社会貢献活動支出額が微増したことから、2.63%(337社)と96年度に比べ0.23ポイント上昇した。

    91年度92年度93年度94年度95年度96年度97年度
    売上高比0.12%
    (312社)
    0.15%
    (327社)
    0.21%
    (321社)
    0.17%
    (347社)
    0.16%
    (341社)
    0.18%
    (384社)
    0.12%
    (363社)
    経常利益比2.67%
    (295社)
    2.86%
    (343社)
    3.47%
    (315社)
    3.25%
    (333社)
    2.36%
    (326社)
    2.40%
    (368社)
    2.63%
    (337社)
    税引前利益比2.92%
    (285社)
    3.24%
    (330社)
    4.25%
    (310社)
    3.50%
    (318社)
    3.30%
    (312社)
    2.88%
    (350社)
    2.97%
    (319社)

  5. 寄付金、自主プログラムの分野別支出比率(単純平均)
  6. 寄付金支出の比率を分野別に見ると、支出割合が高い分野は、「学術・研究」(17.6%)、「教育」(14.3%)、「地域社会の活動」(13.0%)などとなっている。
    一方、自主プログラムに関する支出割合が高い分野は、「芸術・文化」(22.7%)、「地域社会の活動」(16.4%)、「社会福祉」(10.9%)などである。

    97年度寄付金支出比率97年度自主プログラム支出比率
    (340社)96年度(183社)96年度
    1.社会福祉 (5)8.9%9.4%(3)10.9%8.4%
    2.健康・医学
    5.3%4.3%
    4.3%3.1%
    3.スポーツ
    8.1%8.2%(4)10.2%12.3%
    4.学術・研究 (1)17.6%17.8%
    6.0%5.7%
    5.教  育 (2)14.3%14.3%(5)9.6%8.9%
    6.芸術・文化
    8.3%8.7%(1)22.7%22.4%
    7.環境保全
    5.0%6.0%(5)9.6%10.4%
    8.史跡・伝統文化保存
    2.5%2.4%
    1.5%2.0%
    9.地域社会の活動 (3)13.0%15.4%(2)16.4%18.5%
    10.国際交流・協力
    5.9%6.4%
    4.4%5.5%
    11.災害救援
    1.1%1.6%
    0.2%1.0%
    12.その他 (4)10.0%5.4%
    4.1%1.8%
    *;(1)〜(5)は支出割合が高い順位

  7. 寄付金の損金算入限度額の利用率(単純平均)
  8. 寄付金の損金算入限度枠(免税枠)の利用率は、一般寄付が55.1%、特定公益増進法人(以下、特増)への寄付が27.8%であり、いずれも96年度を3〜4%上回った。
    また、限度枠利用率が100%に達している企業は、一般寄付で51社(15.7%)、特増への寄付で20社(6.3%)であった。

    [寄付金損金算入限度枠の利用率(単純平均)]
    91年度92年度93年度94年度95年度96年度97年度
    一般寄付免税枠52.9%
    (298社)
    50.2%
    (333社)
    47.0%
    (307社)
    48.8%
    (329社)
    52.8%
    (286社)
    51.2%
    (328社)
    55.1%
    (324社)
    特増法人免税枠33.0%
    (278社)
    24.6%
    (330社)
    24.8%
    (298社)
    27.2%
    (318社)
    29.1%
    (269社)
    24.8%
    (313社)
    27.8%
    (315社)
    [損金算入限度枠利用率100%の企業]
    91年度92年度93年度94年度95年度96年度97年度
    一般寄付免税枠58社
    (298社の19.5%)
    56社
    (333社の16.8%)
    42社
    (307社の13.7%)
    30社
    (329社の9.1%)
    25社
    (286社の8.7%)
    34社
    (328社の10.4%)
    51社
    (324社の15.7%)
    特増法人免税枠42社
    (278社の15.1%)
    22社
    (330社の6.7%)
    20社
    (298社の6.7%)
    22社
    (318社の6.9%)
    12社
    (269社の4.5%)
    19社
    (313社の6.2%)
    20社
    (315社の6.3%)

  9. 社会貢献活動推進のための社内体制・制度導入状況
  10. 社会貢献活動を推進するために何らかの社内体制を整備している企業は、全体の52.5%にあたる208社にのぼっている。
    とくに、「基本方針の明文化」(145件)、「専門部署または専任担当者の設置」(123件)を行っている企業が多い。

    社会貢献活動推進のための社内体制
    90年度
    以前
    91年度92年度93年度 94年度95年度96年度97年度合 計
    新規制度の導入企業数 62社54社44社27社 28社28社21社33社208社
    [52.5%]
    (内訳・件数)
    基本方針の明文化 46件17件19件15件 16件10件7件15件145件
    専門部署または専任担当者の設置 26件27件20件12件 8件10件8件12件123件
    事業所毎の社会貢献担当者の設置 3件6件9件4件 1件2件5件3件33件
    社会貢献委員会の設置 9件18件10件8件 4件2件8件8件67件
    予 算 制 度 19件17件9件5件 2件9件2件6件69件
    金額換算ルールの設定 1件11件4件4件 2件3件1件4件30件
    そ  の  他 4件1件6件1件 2件4件1件4件23件
    合    計 108件97件77件49件 35件40件32件52件

    企業が従業員の社会貢献活動を支援するための制度導入状況を見ると、これもほぼ半数の企業(205社)が何らかの制度を導入している。
    とくに、「ボランティア休暇制度」(96件)、「青年海外協力隊参加休職制度」(78件)など各種休暇・休職制度を導入している企業が目立つ。

    社会貢献活動促進のための制度導入状況
    90年度
    以前
    91年度92年度93年度 94年度95年度96年度97年度合 計
    新規制度の導入企業数 43社29社50社39社 41社30社36社37社205社
    [51.8%]
    (内訳・件数)
    ボランティア休職制度 2件3件14件10件 8件5件6件5件53件
    青年海外協力隊参加休職制度 18件8件14件12件 13件2件6件5件78件
    ボランティア休暇制度 0件4件23件14件 13件11件19件12件96件
    地域活動奨励休暇制度 1件3件7件5件 3件1件3件1件24件
    ボランティア活動者表彰制度 9件2件7件1件 5件2件5件4件35件
    ボランティア活動者登録制度 3件0件1件6件 6件6件2件4件28件
    マッチング・ギフト制度 2件3件12件5件 1件4件3件4件34件
    地域貢献活動促進運動 14件13件9件3件 2件3件5件6件55件
    そ の 他 5件0件5件3件 4件3件3件9件32件
    合    計 54件36件92件59件 55件37件52件50件

以 上

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