消費者の利便性を向上させる観点から、医薬品の特例販売業や配置販売業において薬剤師の関与の必要性がない医薬品の範囲や先進諸国の事例を参考に、薬剤師の関与が必要とされる医薬品の範囲の見直しを進め、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、胃腸薬等を含め、薬剤師のいない一般小売業で取扱える「一般大衆薬」の範囲を大幅に拡大すべきである。
医薬品一般販売業については、店舗毎に都道府県知事等から許可を受ける際、厚生省令で定める員数の薬剤師の配置と一定の構造設備を設けることが義務づけられている。
日本では、他の先進諸国と比較して、一般大衆薬の販売について薬剤師が関与する範囲が著しく広く、事実上の参入規制となっている。また、医薬品の特例販売業や配置販売業については、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、胃腸薬等を含めかなりの範囲の医薬品について薬剤師の関与がなく販売されていることから考えると、これら一般大衆薬の販売について薬剤師の関与を求めることには合理性に乏しい。3月12日の中央薬事審議会常任部会で、一部の医薬品について、医薬部外品へのカテゴリー変更が行なわれ、薬剤師の関与がなくとも販売できるとの報告書が出されたが、これらの医薬品の範囲は余りに狭すぎる。
消費者の利便性を向上する観点から、医薬品の定義を抜本的に改め、一般大衆薬については薬剤師のいない一般販売店でも販売できるようにすべきである。
厚生省 医薬安全局 企画課
薬事法 第26条、第27条(第8条〜第9条の2を準用)
薬剤師が医薬品一般販売業の複数店舗の管理薬剤師を兼務することを可能とすべきである。
医薬品一般販売業においては、管理薬剤師の配置が義務づけられているが、定期的な巡回によって、実地において構造設備及び医薬品その他の物品の管理等を行うことは可能である。また、管理薬剤師が、全ての顧客に対し、常時服薬指導をしている訳ではなく、むしろ、電話やテレビモニターの活用により、集中的に服薬指導を行う方が消費者に対する適切な服薬指導に役立つ場合も多いと考えられる。
厚生省 医薬安全局 企画課
薬事法 第26条、第27条(第8条〜第9条の2を準用)
薬品の調合や開封を行わない卸売一般販売業(チェーンストア等においてグループ企業の各店舗に商品の振替を行う流通センターや検収センター等)について、保管設備や冷暗所等、構造設備基準は現行通りとしつつも、管理薬剤師の設置を不要とすべきである。
医薬品の販売業者が共同で流通センターや検収センターを設置する場合(例えばグループ企業に配送する医薬品の一括仕入れを行い、各店舗に配送するために配送センターを設置する場合)、卸売一般販売業の許可を取得する必要があり、許可の要件として、管理薬剤師の配置や一定の構造設備の具備が義務づけられている。
しかし、チェーンストア等の流通センターや検収センターでは、薬品の調合や開封を行っておらず、薬品も入荷当日中に出荷されるため、通常の倉庫業とほぼ同じであることから、管理薬剤師の配置の必要性は認められない。
厚生省 医薬安全局 企画課
薬事法 第26条、第27条(第8条〜第9条の2を準用)
厚生省 医薬安全局 企画課
薬事法 第6条、第26条
薬局等構造設備規則 第2条 第7項 ヌ(試験検査に必要な書籍)
薬事法の一部を改正する法律の施行について(局長通知)第二 2(3)
動物用医薬品一般販売業者が試験を外部の試験検査機関に委託することができるようにするとともに、委託できる試験検査機関の範囲を動物用医薬品製造業者を含め、幅広く認めるべきである。
動物用医薬品一般販売業の許可を得るにあたっては、構造設備の一部として試験検査に必要な器具等を備え付けるか、他の試験検査機関を利用して自己の責任において試験検査を行うことについて都道府県知事に認められなければならない。
動物用医薬品卸売販売業や動物用以外の通常の医薬品一般販売業等については、既に外部の試験検査機関に試験を委託することが認められており、動物用医薬品一般販売業についてのみ、試験検査設備について、特別の扱いをすべき理由が薄い。動物用医薬品卸売販売業や通常の医薬品一般販売業と同様に外部の試験検査機関に検査を委託できることとすべきである。なお、動物用医薬品卸売販売業については、非営利の試験検査機関のみにしか委託できないとされているが、例えば、動物用医薬品製造業者等は、製造業の許可を得るにあたって高度な試験検査設備を備え付けており、通常期待されている試験検査等は充分に実施できるため、一般販売業・卸売販売業ともに、これらの民間の試験検査機関にも委託できることとすべきである。
農林水産省 畜産局 衛生課
動物用医薬品等取締規則 第24条
自己点検表の保存義務を廃止すべきである。
薬事監視指導要領により、医薬品の製造(輸入販売)業者、薬局開設者、医薬品販売業者は、定期的な自己点検を求められるとともに、自己点検表を記入後5年間保存することとされている。
自己点検表は、事業者自身が、自己の業務が法令通りに適正に行なわれているかどうかを確認し、適正でない点があれば、すぐに是正するためのものであるので、そもそも保存すべき理由はない。
厚生省 医薬案全局
「薬事監視指導要領について」(83年5月25日薬務局長通知)
電子血圧計、低周波治療器、補聴器等の医療用具の販売について、届出制を廃止すべきである。
厚生大臣が指定する医療用具の販売に関しては、あらかじめ営業所ごとに、都道府県知事に対して医療用具販売業の届出をしなければならない。
医療用具については、その製造段階で細かく管理されており、販売時の届出の必要性は認められない。医療用具の品質・性能も向上していることから医療用具販売業の届出対象品目を大幅に削減すべきである。届出対象範囲を縮小することにより、それらの品目を取扱う事業者が増え、消費者の利便性が向上することが期待される。
97年3月27日の「規制緩和推進計画の再改定について」において、「販売業の届出を要しない医療用具の範囲について、保健衛生上の観点から総合的に検討し、見直す」こととされ、一部の医療用具については、届出対象から外される見込みであるが、さらなる削減を望む。
厚生省 医薬案全局 審査管理課
薬事法 第39条
薬事法施行規則 第41条、第42条