当面の総会屋等への対応策について
1997年9月16日
(社)経済団体連合会
最近、総会屋等に関わる企業不祥事が続いており、これは、経済界への内外の信頼を揺るがしかねない重大な事態である。経団連としては、昨年12月に発表した「企業行動憲章」に基づき、不祥事の再発防止のための諸活動を強化していく。同時に、会員の業界団体、企業、政府に対しても積極的な取組みを要請する。
- 経団連自体の取組み事項
- 「企業行動憲章」の一層の周知徹底
- 企業行動憲章「実行の手引き」の第7項目「市民社会の秩序と安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決する」を改訂する。
- 経営トップの意識改革のためのセミナー等を開催する。
- トップレベルでの情報交換の促進
- 総会屋等との関係遮断は経営トップ自らの役割であることから、後掲の業界団体ベースの連絡協議会の設置と併せて、各業界団体の長によるトップレベルの協議の場を経団連に設置する。
- 経営トップが、個別の具体的問題について相談する窓口を経団連に設置する。
- 関係機関との連携強化
- 総会屋等への対応策に関する情報交換、関係者の相互理解を促進するため、警察庁と経団連が協力して運営している「暴力団対策連絡協議会」について、参加業界団体を拡大するなど、その活動を強化する。
- 企業が地域ベースで団結し、反社会的勢力との関係を遮断するために活動している「警視庁管内特殊暴力防止対策連合会(特防連)」等各地の企業防衛対策協議会の活動を支援する。
- 日本弁護士連合会加盟の総会屋対策等に精通した弁護士との連携を強化する。
- 業界団体への要請事項
- 業界団体ベースの連絡協議会の設置
総会屋等に関わる企業不祥事の再発防止のためには、業界団体の加盟企業の団結と協力が求められることから、総会屋等の反社会的勢力、団体との関係遮断の申し合わせ、総会屋対策に関わる情報交換、警察との連携等を目的として、各業界団体に、加盟企業のトップから構成される連絡協議会を設置する。
- 業界団体ベースの行動指針の作成
総会屋等との関係遮断を中心に、各業界における企業行動の適正化を業界ベースで申し合わせるため、各業界団体において、必要に応じて経団連の企業行動憲章を参考に、業界毎の特徴などを踏まえた行動指針を作成する。
- 企業への要請事項
- 経営トップによる総会屋等の反社会的勢力、団体との絶縁宣言と、その実行のための社内体制の整備
経営トップは、総会屋等との絶縁を内外に宣言すると共に、その実行のための社内体制の整備を行う。具体的には「業務監視委員会」等の組織横断的な社内チェック機関の設置や、経営トップ、役員、社員の安全対策の確立等に取組む。
- 情報誌の購読中止等
総会屋等が発行する情報誌については、その購読、広告出稿を中止する。
- 被害届けの提出
いわゆる総会屋等の反社会的勢力、団体からの被害を受けた場合は、必ず警察への被害届けの提出を行う。
- 政府への要請事項
- 総会屋等への法的措置の強化
- 総会屋等に関連する商法の罰則強化
商法494条「会社荒し等に関する贈収賄罪」、497条「株主の権利の行使に関する利益供与・受供与罪」の懲役・罰金刑を引き上げる。また497条の受供与罪については懲役刑と罰金刑の併科や、悪質な総会屋等を重く処罰するための新たな構成要件の導入を検討する。また、総会屋等による利益の要求行為自体を処罰する「利益要求罪」の導入もあわせて検討する。
- 既存の法制度の運用強化および新たな法制度等の検討
「改正暴力団対策法(暴力団による不当な行為の防止等に関する法律、1992年3月施行、1997年改正)」の運用を強化する。また、組織的な犯罪に関する刑の加重、犯罪収益の没収及び追徴の拡大等を目的とする「組織犯罪対策法」を制定すると共に、いわゆる総会屋的活動を規制する法制度等の検討を行う。
- 当局による取締まりの強化
- 非常識な街宣活動の取締まりを強化する。
- 企業の総会対策関係者への保護を強化する。
- 当局との連携強化のための環境整備
- 被害届けを提出した段階においても、また加害者の検挙後も警察当局においては企業名の公表は行わない。
- 企業による当局への通報等をルール化する。
- 今後の課題
以上が当面の総会屋等への対応策であるが、経団連では、今後とも、企業風土の改革、企業情報の公開の推進など不祥事の再発防止策についてさらに掘り下げて検討する方針である。
以 上
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