魅力ある日本の創造へ向けてのわれわれの責務

1996年5月28日
(社)経済団体連合会


厳しい試練の中にある日本経済も、円高の是正と政府の経済対策、また懸命な企業努力により、ようやく回復の糸口をつかみつつある。当面、景気の本格的な回復に向け、企業の主体的取り組みが一段と重要となるが、政府にあっても、住専処理を含む金融関連法案の早期成立を図り、金融システムの安定化を急ぐなど、持続的な成長を目指した経済運営に意を尽くすべきである。

一方、わが国の発展を支えてきた様々な枠組みについて、見直しが求められている。経済界が自己責任原則に基づく行動を示すことはもとより、政治、行政においても、高い倫理に裏打ちされた自由、民主主義の再構築を図り、内外の信頼回復に全力をあげる必要がある。

われわれは、経団連創立50周年を機に「魅力ある日本−創造への責任」をとりまとめ、各般にわたる構造改革を推進し、活力あるグローバル国家の構築を目指すことを決意した。われわれは、このビジョンの実現に向けて、下記の重要課題に果敢に取り組むとともに、政治、行政に対しても21世紀の国づくりへの行動を訴える。

  1. 新しい国づくりの中核として首都機能移転の早期実現を目指す。その際、透明かつ簡素で効率的な政府を実現するため、規制の撤廃・緩和の先行的かつ早急な実施とともに、省庁再編・官業の見直しを含む行政改革、地方分権、行政の情報化の総合的な推進を働きかける。
    また、21世紀を展望した科学技術の推進、情報・交通基盤の整備に重点的に取り組むべきである。

  2. 国・地方を通じる厳しい財政状況を認識し、歳出・歳入両面にわたる抜本的な構造改革を求め、活力ある長寿社会の構築に備える。さしあたり、歳出の徹底した合理化を前提として財政の弾力性回復の目処をつけるとともに、直接税に偏った直間比率を是正するよう働きかける。特に欧米諸国に比べ過重な法人課税軽減への早急な取り組みを求める。

  3. mail protected]$rC4$&$?$a!"4{B8;v6H$N6%AhNO6/2=$KEX$a$k$H$H$b$K!"4k6H2H@:?@$rH/4x$7$F8&5f3+H/$N=< 阪神・淡路地域の産業復興は緊急の課題であり、国・地方自治体の役割に加え、企業の先導的な取り組みが重要である。

  4. 米国をはじめ各国との交流にあたっては、民間ベースの政策対話を重視するとともに、世銀等国際機関との連携強化、WTO、OECD、APEC等の活動の支援および民間意見の反映に努める。その際、地球環境問題への取り組み、途上国の民活インフラ支援を含む産業協力、教育・人材育成への協力等具体的な課題の実現を目指す。

  5. 企業人を含む国民の政治参加意識を高めるために「企業人政治フォーラム」を設立する。また、党利党略を排した政策本位の政治、透明度が高く国際的に通用する政治を期待する。

以 上


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